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「黄色いベスト運動」の人々(上)

Japan In-depth / 2019年3月30日 23時0分

▲写真 エリック・ドルーエ(右)出典:@drouet eric

その時作ったFacebookグループ「la france en colere !!! la france en colere !!!」への登録者数は、31万人であり、現在もグループの一人として活動している。

個人名が入ってるFacebookグループ「Gilets jaunes officiel d'Éric drouet」にも6万5千人以上がメンバーに登録されている。

毎回、黄色いベストデモが終わると、本業のトラック運送の仕事をしながら結果を動画で報告する。その口調は常に落ち着きを払っており、言っている言葉は誠実だ。

ドルーエ氏自体は、デモ時に暴徒が起こす暴力には反対している。それは兼ねてから言っていることでもあり、現在でも言い続けている。しかし、大手のメディアの報道を見て、黄色いベストたちに対してよいイメージを持っていない人々は、ドルーエ氏に容赦なく、中傷の手紙どころか自宅にまで襲いかかる。3月16日に起きたパリ市内の破壊に対して不満を持ったフランス人は確かに多かった。そのため、責任が彼にあるとばかりに19日には夜中の3時にドエール氏の自宅にまで行き、車に黄色いペンキをぶちまけた者もいる。

しかし、そんな時でもドルーエ氏は冷静だ。逃げ走る加害者に対して

「そんなことするよりも、他にすることがあるだろう。」と、声をかけたと、インタビューにも怒りの感情も見せることなく状況を語る。

3月23日は、許可されていない場所でデモを行ったリーダーとして値上げされた135ユーロの罰金を早速言い渡されたが、それを不服としてサインはしなかったそうだ。時折鋭い視線を走らせながら、そのようなデモの報告をしつつ、純粋に人々の生活の状況がよくなることを願っている姿に心を動かされる者も多い。

ドルーエ氏の姿勢を特に絶賛しているのは、国民議会議員ジャン=リュック・メランション氏だ。

▲写真 ジャン=リュック・メランション氏 出典:Flickr; Cancillería del Ecuador

「労働活動に精通している私には、ドルーエ氏が本当に素晴らしいことがわかります。重いプレッシャーがかかる中でも、彼は完全なる冷静さを見せている。あらゆる点で慎重にポリシーを貫き、やらなければいけないときにはやり抜く男であり、とてもフランス人らしいと感じています。」

しかしながら、彼がFacebookに書くメッセージ、多数の綴りの間違いがあり、それらが批判されたり嘲笑の的にされることも多い。実は、これこそが労働階級が政治の世界から排除されてきた理由であり、労働階級の意見が無きものにされてきた現実そのものであるとも言われている。崇高な精神や働きをしていても、エリートの基準にあわなければ無視され、排除され、不平等で不幸な状況に陥っている状況を伝える術もない。そのまま置き去りにされているのだ。

ドル―エ氏は言う。「デモを18回やっても、政府からは回答は0件だ。要求はシンプルなのだ。別に政権をくつがえしたいわけではない。今フランスに起こっている現実に、政府を巻き込みたい。多くの決定が一般のフランス人の意思に関係なく決定されている。そういった重要な決定に対して発言権が必要だと思っている。メディアが言っていることを信じないで欲しい。黄色いベストは決して政権をくつがえしたいわけではないのだ。」

(下に続く。全2回)

トップ写真:黄色いベスト運動(2019年)出典:Flickr; Christophe LEUNG

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