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新防衛大綱・中期防を読む(下)

Japan In-depth / 2019年4月3日 23時0分

先述のように連絡、軽輸送に小型ヘリは必要であり、中型ヘリにこれをやらせるのは無駄が多くなる。また同じく旧式化したAH-1Sの維持も今後500億円の予算が必要であり、これまた早期に廃止して予算と人員を他に転用すべきだろう。


戦車火砲については「戦車及び火砲の現状(平成 30 年度末定数)の規模はそれぞれ約 600 両、約 500 両/門であるが、将来の規模はそれぞれ約 300 両、約 300 両/門とする」と前大綱を引き継いでいる。


だが本来前大綱終了時点、つまり現在までにこれは達成していなければならない数字だったはずだ。一体「将来」がいつなのか。国家防衛の指針となる文書にしては不明瞭だ。


25大綱別表の注釈では「戦車及び火砲の現状(平成 25 年度末定数)の規模はそれぞれ約 700 両、約 600 両/門であるが、将来の規模はそれぞれ約 300両、約 300 両/門とする」当時防衛省の説明では10年掛けてそれぞれ減らすことになっていた。つまり現大綱において、戦車は400両、火砲は300両/門減らすはずが、それぞれ100両/門しか減らせていない。これは極めて無責任だ。


計画の未達成により不要な戦車が300両、火砲が200両/門あることになる。つまり旧式化して不要な装備が維持され、それに人員も拘束され遊兵化しているということだ。


仮に乗員、整備員、調達その他間接要員を含めて戦車1両あたりの人員を6名、火砲は12名として計算すると、戦車は1800名、火砲2400名、合計4200名、1個旅団以上の隊員が拘束されていることになる。また装備や部隊を維持するための維持費などもかかる。


更に問題なのはその間16式機動戦闘車が導入され続けていることだ。これまで87両が調達されており、その人員は乗員だけでも348名が必要だ。



▲写真 16式機動戦闘車 出典:Toshinori baba(Wikimedia Commons)


次期大綱においても戦車、火砲がそれぞれ100両/門減とするならば、余剰の戦車が200両、余剰火砲は100両/門ということになり、遊兵化する隊員はそれぞれ1200名、合計2400名ということになる。


しかも次期中期防は134両の機動戦闘車が導入される予定だ。仮に機動戦闘車の調達数が200両とするならば、次の次の中期防では28両が必要で大綱中に162両調達される。そうであれば次期大綱中必要な機動戦闘車のクルーは648名となる。陸自は人手不足というが、自ら人手不足を作っている。


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