素人をスパイに採用する中国
Japan In-depth / 2019年4月11日 19時35分
要するに、中国の諜報機関は「information」だろうが「intelligence」だろうが何でも関心があるため、プロの諜報部員ではなく、素人の一般中国人にターゲットから情報を得させようとする傾向があるというのだ。では中国の諜報機関が「ジェームズ・ボンド」よりも「普通のおじさん、おばさん」を多用する傾向があるのは何故か。
10年前、筆者は4つ理由を考えた。
①欧米向け工作員の不足(欧米社会で秘密工作員として通用する「欧米系言語を操る金髪系白人」が不足している)
②経済的効率(一人前の工作員を養成するには長い時間と多くの資金が必要)
③リクルートが容易な一般中国人(自己の利益を守るためならスパイ活動に大きな抵抗感、罪悪感を感じない)
④長期的利益の重視(狩猟型より農耕型を好む傾向あり)
である。
筆者は最後の点が最も気になる。中国の諜報活動は、限られた諜報を短期間にターゲットから直接獲得すべく努力する、「狩猟型諜報」ではない。それよりも、浅く、広く、間接的ながら数多くの中国シンパから末永く様々な情報を収集する「農耕型諜報」の方が最終的利益が大きいと考えている可能性が高いのだ。今回の中国人女性の行動は氷山の一角に過ぎない。これからも米中間の諜報戦争は続くと見るべきだ。
〇アジア
米中貿易交渉の行方が気になる。米通商代表部(USTR)代表と財務長官ら米側代表団は3月28日から訪中。一時は合意が近いとの観測も流れたが、劉鶴副首相ら中国代表団が4月3日から訪米した際に大きな進展は見られず、相互の溝は今も埋まっていない。一部には交渉が更に長期化する可能性すら取り沙汰されている。
▲写真 劉鶴副首相(左) 出典:United States Senate Committee on Finance
もう一つの関心事は米韓首脳会談だ。韓国大統領は米国にどう説明するのだろう。米韓関係が悪化しては困るが、ここらで韓国には目を醒ましてもらわなければならない。恐らく米側の懸念も同様だろう。今回の首脳会談は文大統領の政治的将来を決める第一歩となるかもしれない。
〇欧州・ロシア
英国首相がまた迷走を始めた。今度は二回目の国民投票を検討しているという。おいおい、これではキャメロン首相の二の舞ではないか。苦し紛れで行った第一回投票で前首相は墓穴を掘った。基本的政治状況が変わらない中で、第二回をやれば墓穴が深くなるだけだ。今必要なのは国民投票ではなく、政治状況を変えることである。
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