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災害救援受け入れのメリット

Japan In-depth / 2019年4月21日 11時0分

デマは迫害のリスクも高める。関東大震災での朝鮮人虐殺はそれが現実化した例だ。また東日本大震災でもそれに加担する主張もあった。各国海空軍の動静を針小棒大、あるいは無根拠で捏造し、尖閣や竹島で積極的行動に出ているといったデマがなされた。


救援受け入れはそれも抑制する。報道でそれが伝わればデマの伝播力は格段に落ちる。意図して排外主張を繰り返す民族差別扇動者によるデマはともかく、一般大衆からのデマは発生し難くなる。


また、デマ発生と国民感情悪化の循環拡大も防げる。災害時の排外デマは第二であげた国民感情悪化を増幅する。また国民感情が悪化すれば災害デマは発生しやすくなる。その増幅率を低下させることもできる。


 


■ 中韓朝での災害救援も可能となる


以上が災害援助受け入れのメリットである。災害時に中韓朝の救援隊を国内に入れるメリットについて第一から第三まで述べた。


実際にはそれ以外のメリットもある。相互主義により日本災害救援の中韓朝進出が容易となる。それにより日本は中韓朝政府との交渉チャンネルを太くし、相手側の国民感情を緩和させ、デマゴークに近い対日強硬運動家の活動を封殺でき、在留日本人を安全にする。なお、デメリットはほぼない。


各国救援隊員は悪さはしない。エリートだけが来るわけでもないが問題を起こす兵隊は連れて行かない。また自衛隊基地の利用も問題はない。秘密関連の物件は全て建物内にある。秘密取扱の資格がなければ日本人でも見られない。建物外には何の秘密もない。建物配置ほかは全て公開されている。


 


(※1)張雲「日中の誤認知と相互不信の再生産のメカニズム」『国際政治』184(有斐閣,東京,2016.3)pp.1-15.


中国は3月15日に病院船や医療班を含む大規模な救援援助を申し出た。日本は回答を27日まで引き伸ばし、その上で過半を断った件だ。受け入れた救援隊は15人であった。


さらに他国とのバランスも取り損なった。よりによって同日にイスラエルの緊急医療班を受け入れたこと。中国援助隊以上の救助隊28人を台湾から受け入れるといったバランスを欠く判断をしたためだ。


それにより日本は日中関係改善の実をとることができず、逆に中国側に不快感を与える始末となった。


 


(※2)斉藤達志「関東大震災における」『軍事史学』(錦星社,2012.6)pp.44-46.


トップ写真:韓国からの救援受け入れも両国関係の緩和に役立つ。大規模災害時に最も有効な輸送ヘリCH-47を保有し、しかも自力展開可能な距離にある。写真はフィリピン台風災害で派遣された韓国救難隊。


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