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報道の自由度を妨げるものは

Japan In-depth / 2019年4月25日 11時0分

山口氏も、「政府がやっていることを批判すると『反日』っていうレッテルを貼られる。でもそれは全くの嘘。日本に住んでる人はみんな日本が好き。しかしみんなを幸せにする方法論が違ったり、意見が異なるだけ。好きだから批判してる。」と述べ、レッテル貼りを恐れず政権批判をするべきだとの考えを強調した。


 


②メディア側の自主規制の問題


また、メディア自体が自主規制をかけている現状について議論された。記者側自らが取材したことを、時として記事に書かないという傾向があるという。これはどういうことなのか。


例えば、テレビ報道では番組の視聴率をとることが重要視されるため、数字がとれない内容と判断されれば、そのニュースは報道されない。これが記者側の「どうせ報道されないなら」という心理を働かせ、「めんどくさくなりそう」なことは避けるようになってしまった。この現実に関し、「20年以上前から記者は面倒なことを避けるようになり、番組側と取材部とのせめぎ合いがなくなった。テレビ報道の自由は、テレビ自らがそれを放棄している」と安倍氏は主張した。



▲写真 安倍宏行氏 ©️Japan In-depth編集部


「ブラックボランティア」の著者である本間氏も、この現状を身をもって体感している。「商業イベントの五輪で、莫大な利潤を上げているのが組織委員会であり、4000億円以上のスポンサー収入を仕切る広告代理店がある。公共の福祉も公益もほとんどないものに無償ボランティア、というのは大きな問題がある。」という意見に対し多くの記者が共感したという。しかし、記事になることはほとんどなかった。既存メディアも五輪スポンサーであるため、事なかれ主義に陥っていると指摘した。


また、新聞社、雑誌の世界が長い山口氏は、「権力者が情報をコントロールしたいのは当たり前のことであり、それに対抗する気骨ある記者が減っている。」と述べた。その原因として、雑誌、新聞の売り上げの著しい低下を挙げた。売り上げを上げるために、以前は意識していなかったスポンサーや広告会社のことまでを意識して働くようになり、それが忖度しやすい雰囲気をつくり上げたのではないかと述べた。実際に山口氏も「入社した時は、編集部の人間が、スポンサーがどこでいくら出しているということなんて、知らない世界だった。今では編集長は広告がいくら、ということを頭に入れて働いている。企業批判の記事の場合は何重にも確認されて、ようやく日の目をみるかみないかの世界になった。」と現場の実態を伝えた。


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