日本経済衰退と国際情勢緊迫 平成時代の世界3
Japan In-depth / 2019年4月29日 18時0分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視 」
【まとめ】
・平成は「失われた20年」、日本経済衰退の時代。
・89~91年、日本は国際社会において「無敵の王者」だった。
・緊迫した国際情勢の中、現憲法下では重大な支障が起きてくる。
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平成時代の国際情勢を回顧してきた。
31年に及んだ平成の世が幕を閉じる。平成などという時代の区分はもちろん全世界でも日本だけである。その日本独特の時代区分を日本以外の世界にあてはめて、その区分内に起きた主要な出来事を回顧すること自体が奇異な作業かもしれない。なぜなら世界は昭和とか平成、令和という時代の区分によってはまったく動かないからだ。
しかし私たち日本人にとっては目前にある慣れた平成時代という年代区分を軸として国際情勢を時系列的に追うことも、不自然ではまったくないのだ。西暦では1989年から2019年という一つの時代が日本では平成という時系列の枠内でまず認識されることも、日本ではふつうである。一般の日本国民にとって、「平成の世界でなにが起きたのか」という問題意識も健全だといえよう。
そんな前提で話しを進める。平成時代の世界でなにが起きたのかという報告である。これまでソ連の崩壊による東西冷戦の終わりと、中国の膨張とをその世界での激変としてあげてきた。それに次ぐ第三の世界での激変としては日本の経済面での衰退を指摘したい。
日本の経済はいまでも国際的にみてなお規模も質も平均よりはずっと上ではある。だがバブル経済とその破綻は平成時代全体を通じれば、グローバルな大事件だった。日本自身がもちろん国民の生活を激しく揺さぶられる形で荒波をかぶった。国家としての日本の冬の時代、失われた時代をも画すことになった。
だが同時に日本が留まるところを知らない勢いの巨象のような経済超大国の座から、成長のない内向きの経済衰退国家に落ちていく経過は国際的な波紋も大きかったのである。
私はこの日本の経済の劇的な変遷をやはり海外にいて目撃してきた。アメリカの首都ワシントンに毎日新聞特派員として最初に駐在した 1970年代後半、日本の経済はすべての面で右肩上がりだった。
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