宮古島に弾薬庫は必要なのか
Japan In-depth / 2019年4月30日 18時0分
文谷数重(軍事専門誌ライター)
【まとめ】
・ 宮古島の陸自配置では弾薬庫が問題となっている。
・ 平時・緊張時・有事において弾薬庫は必須ではない。
・ 地元住民と対立してまで作る必要はない。
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地元と揉めてまで宮古島に弾薬庫を作る必要はあるのだろうか?
防衛省は先島諸島に陸自の配置を進めている。これは安全保障における中国との対立の結果である。先島は中国に間近ながらも陸兵は未配置であった。その戦力空白区を埋め、同時に住民不安を解消させるため警備部隊を配置するものだ。
そのうち宮古島では弾薬庫が問題となっている。陸自は住民説明で「弾薬庫は作らない」「ライフル等の小火器用弾薬を保管するだけ」と説明した。しかし実際には炸薬が入ったミサイルを弾薬庫に収容した。発覚後は島外に搬出したものの、陸自は別の場所に弾薬庫を作ろうとしている。
この弾薬庫は嘘をついてまで作る必要はない。まず平時には弾薬庫を設置するほどの弾薬保管は必要はない。また緊張時には逆に保管可能量が不足する。そして戦時には弾薬庫は使われない。この点でさほどの価値もない。住民と揉めた上で無理に作るほどの施設ではない。
▲写真 警備隊の整列:警備隊はあくまでも警戒用の戦力である。戦力の空白区を埋め、住民に安心感を与えることが目的である。上陸戦に対応するための守備隊ではない。実際に中国による侵攻の可能性は低く無視してよい。 出典:防衛省「岩屋防衛大臣の動静」「2019(平成31)年4月」より。
■ 平時:弾薬ロッカーで足りる
宮古島の弾薬庫は必須ではない。平時、緊張時、戦時のいずれでもそうだ。
平時所要なら弾薬庫は必須ではない。警備配置かつ増強中隊規模なら保管数はそれなりである。弾薬ロッカーで対応できる。
宮古島の陸自は警戒用である。部隊も宮古警備隊であり守備隊ではない。その配置目的も戦力未配置地域の解消である。実際にも陸上戦場となる可能性も低い。中国の先島侵攻はない。確かに防衛体制は厚くはない。だが、有人島であり侵攻すればなによりも回避したい日米安保の発動を確実にしてしまう。
その上、宮古警備隊の規模も小さい。正味は増強中隊に過ぎない。
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