令和初の憲法記念日に考える
Japan In-depth / 2019年5月3日 7時0分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視 」
【まとめ】
・米実務責任者ケーディス氏に憲法案作りの実態をかつて聞いた。
・日本国憲法、占領下米軍により書かれ押しつけられたこと明白。
・日本国憲法は日本国民自らが熟考し、決めるべきもの。
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5月3日は憲法記念日である。今年のこの日は令和時代の初の憲法記念日となった。
この記念日はいうまでもなく1947年(昭和22年)の5月3日に日本国憲法が施行されたことを記念する祝日である。
この記念の日に日本国憲法について改めて論じたい。日本国憲法は主権国家の憲法としてはその誕生も内容もあまりに異端である。現在の日本国にはそぐわない点があまりに多い。その出発点での異端や奇異について戦後の日本国民は十分な情報を得ないままに過ごしてきた。またいまの憲法を絶対に変えてはならないと主張する、いわゆる護憲派は憲法のその異常さをあえて隠すことに努めてきた。
いまの日本国憲法は日本が戦争に敗北して、米軍に占領されるようになってまもない1946年2月に米占領軍の法律知識のある軍人たちによって一気に書かれた。そもそも主権のない、独立をしていない国が占領されている外国の軍隊の代表によって作られた憲法をそのまま受け入れているという事態が異様である。
私があえてこうしたことを指摘するのは、ワシントンに長年、駐在した記者、そして研究者としてアメリカ側での日本憲法作成の経緯を多角的に調べた経験のためである。とくに私は日本国憲法草案を書きあげたアメリカ側の実務責任者のチャールズ・ケーディス氏にその憲法案作りの実態を詳しく聞いたことがある。この点では現代の日本ではきわめて数の少ない体験者といえる。
▲写真 チャールズ・ケーディス GHQ民政局次長(1956年12月31日までに公表)出典:Wikimedia Commons
私はケーディス氏との4時間近くものインタビューの記録もいまも保管している。その全記録は私が2012年11月に出した著書『憲法が日本を亡ぼす』のなかでも掲載した。
そのケーディス氏から聞いた話しをいまここで再現して、憲法のあり方について論じるのは、いまの日本の憲法はやはり日本国民みずからが出発点から再度、熟考して、決めるべきだと強く信じるからだ。さらには日本のいまの憲法論議ではふしぎなほどその出自は語られないからである。故意にその点の議論を避けている傾向さえがうかがわれるのだ。
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