パフォーマンス理論 その6 400H
Japan In-depth / 2019年5月7日 0時0分
練習で鋭角にハードルに入れるようにするには、ハードルを勢いよくいけるぎりぎりの長さの距離をとって行うか、または実戦形式でスタートから1、2台目ぐらいのタイムトライアルを行うのが効いたと思っている。感覚としてはハードルの1,2歩前から少し加速するぐらいの勢いをつけてハードルに飛び込むのを大事にしていた。
次に歩幅調整。足を合わせるために重要なのは、単純だけれど、練習で繰り返し、距離を体に教え込ませることだろう。私はよく、スタートから4台目までいって、60sec休み、5台目から8台目まで走っていた。実践に近い形でかつ体がフレッシュな状態で第3第4コーナーのハードリングを練習できるのですごく効いた。1999年から2001年の2年で1秒以上伸びているがこの5台目から8台目の練習がかなり影響したと思っている。第3第4コーナーの上手い下手で0″4秒ぐらい違うと私は考えている。
いくら完璧にしても試合になるとうまくいかないことがある。2つ要因があり、1つは風などの外的要因、もう1つは自分の緊張などの内的要因だ。練習でどこまで精度を高めても、実際の試合では風が吹く。前から風が吹けばそれだけ歩幅が縮み、後ろから吹けば伸びる。また疲労も影響する。どの程度風が吹いていて、自分の歩幅がどの程度くるかを察知しなければならない。もし察知するのが遅れれば、ハードル前2、3歩で急激に調整することになり、早く察知すれば十数歩に分けて吸収することができる。当然早く察知できた方がいい。自分が今どの程度いつもよりずれた歩幅でいるのかを察知できない選手はレース中に崩れることが多い。
また、内的要因も大きい。私は13歩という歩数を使っていたが、4、5月の練習ではほとんど届いたことがなかった。だからこの時期は練習をするときにはいつもハードル間35mから50cm減らして、34m50cmで走っていた。ところが試合になると興奮してこの50cmが埋まってしまう。それがわからない若い時代はいつも試合前に届かないと思って焦っていたものだ。緊張し過ぎて、体がこわばってピッチを上げ過ぎて歩幅が出なくなるということもある。
400Hの中でもオーバーストライド気味に走る選手は緊張して興奮した中で、ゆったりと走らなければならないが、これが相当に難しい。私もよく失敗した。最初の五輪で転倒しているが風と過緊張によって走りがこわばったことが原因だと分析している。年齢を重ね次第に感覚をつかみ緊張してもゆったり走れるようになったが、それと同時に人前で緊張したときにわざとゆっくり話せるようになった。関係あるのか、ただの場馴れなのかいまだに自分でもわからないが。
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