僕がドキュメンタリーを撮るわけ 上
Japan In-depth / 2019年5月19日 16時19分
ドキュメンタリーに限らず、あらゆるアートや創作物は、人に想像力を与えるためにある。自分の所属する小さな世界しか知らない人には、自分たちとは全然違う人生や世界が存在することを受け入れることができない人が多い。今の日本には、悲惨なことは見たくない、知りたくないと思っている人が多い。ドキュメンタリーはこの状況を壊すためにあるのかな。
問題に取り組んだり、100%理解して共感したりすることよりも、まず、知らない国の知らない人生を知り、そういう世界があると知って認めることが必要。
小西: 「見たがらない」という風潮はドキュメンタリーだけじゃなくて、社会全体に表れていると感じる。社会学者の宮台真司さんがいうところの、“ディスニーランド化”と呼ばれる現象で、見たくないものが排除されている。そういう社会だからこそ、ドキュメンタリーが必要とされる。見えていないものを持ち込むのがドキュメンタリー。
ドキュメンタリーは人生を豊かにする。人々は悲しみや苦しみを感じたくないとゾーニングするけど、結局それでは平坦でつまらない人生だと気づいて、もう一度悲しみや苦しみを求める。ドキュメンタリーでそれを疑似的に経験することによって、今の自分の立ち位置を良いものだと再認識することができる。
久保田: それはどうだろう。自分のドキュメンタリーに対して「日本は平和で良いと思いました」という感想を受け取ったら、何も伝わってないと思ってしまう。
小西: 役割の一つを果たした感じはする。ドキュメンタリーを見て、自分の今の立ち位置をより幸福に感じたとしたら、一つの価値を与えたことになるんじゃないかな。
(下に続く)
トップ画像:久保田徹氏(右)と小西遊馬氏(左) 提供:久保田徹、小西遊馬 撮影:綿谷達人
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