宗教改革が宗教対立へ 悲劇の島アイルランド その1
Japan In-depth / 2019年5月28日 11時50分
林信吾(作家・ジャーナリスト)
林信吾の「西方見聞録」
【まとめ】
・「イギリス」の正式な国名は「グレートブリテンおよび北部アイルランド連合王国」。
・アイルランドの歴史は宗教的政治的な抗争の歴史。
・宗教対立がアイルランドの歴史を悲劇に満ちたものにして行く。
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日本人が一般に「イギリス」と呼ぶ場合には、ヨーロッパ大陸の北西沖に浮かぶ大ブリテン島を念頭に置いているようだ。その大ブリテン島のさらに西方沖に浮かぶ島国がアイルランドだが、ここは南北に分断されており、北部は「イギリス」の一部である。
今あえて「イギリス」と呼んだが、正式な国名は「グレートブリテンおよび北部アイルランド連合王国」で、日本でイギリスという呼称が定着したのは、イングランドのポルトガル語訛りから来たものだと言われている。
したがって私は、イギリスというのは日本語の、それも誤った俗称に過ぎないと見なし、歴史的呼称としては「イングランド」を、そして現在の国名を略す場合は、日本でもなじみ深い「英国」を採用している。
これが、かの国の歴史を多少は勉強した者の態度だと信じているからだが、何故そのように考えるに至ったかは、本シリーズの中でおいおい説明させていただこう。
本シリーズで話題の中心となるのは、アイルランドである。緑豊かな、のどかな島国だが、その歴史は宗教的・政治的な抗争の悲劇に彩られており、昨今はまた、英国のEUからの離脱問題、世に言うブレグジットによって、またもや血生臭い抗争が再燃する危険が取りざたされている。
写真)Brexit Protestors London 2018年12月
出典)Flickr; ChiralJon
少し話が(2400年ほど笑)戻るが、この島の住人はケルト人と呼ばれ、日本では「ケルトの島」という別名まである。もう少し具体的に述べると、多神教を軸とするケルト文化を受容した人たちは、ヨーロッパ中部平原(ドイツ、フランス、オーストリアなど)からスペイン北部、東欧にまで生活圏を広げていた。
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