中国船、比漁船沈没させ逃走
Japan In-depth / 2019年6月18日 11時27分
大塚智彦(Pan Asia News 記者)
「大塚智彦の東南アジア万華鏡」
【まとめ】
・比政府は中国を強く非難、中政府は衝突は認めるも逃走は否定。
・比政府は中国の対応いかんで国交断交も示唆。
・中国に柔軟な姿勢をとってきたドゥテルテ大統領にも非難の声。
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フィリピンや中国などが領有権を争っている南シナ海で停泊中のフィリピン漁船に中国船のトロール船が衝突、比漁船が沈没する事故が6月9日に起きた。フィリピン政府や海軍当局は、沈没漁船の乗組員22人が海上で救助を求めたものの中国船は一切の救助活動をせずに現場から逃走したとして「許されない行為」と中国を激しく非難する事態になっている。
事件は6月12日にフィリピン国防省が明らかにしたもので、9日夜に南シナ海のリード堆(フィリピン名レクト環礁)の沖合、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内で発生した。
▲写真 スプラトリー諸島の占有状況 出典:Wikipedia; アメリカ中央情報局
ミンドロ島から出港して同海域で操業していた漁船「ギンバー1」が錨を下ろして停泊中、中国のトロール船がいきなり衝突し、漁船は沈没。22人のフィリピン人乗組員が海上で救助を求めるにも関わらず、一路逃走したという。乗組員22人は約6時間後に付近を航行中のベトナム船に全員が無事救助された。
フィリピン大統領府は「救助を求める乗組員を身捨てる行為は野蛮である」と中国を非難し、外交ルートで中国に抗議したことを明らかにした。
デルフィン・ロレンザーナ国防相も「中国船の行動は臆病な行為であり、我々は最も強い表現で中国船とその乗組員を厳しく非難する」と中国を指弾した。
▲写真 デルフィン・ロレンザーナ国防相 出典:REPUBLIC OF THE PHILIPPINES DEPARTMENT OF NATIONAL DEFENSE
その一方で22人の乗組員を救助したベトナム船籍の船についてフィリピン側はベトナムに対して感謝の意を伝えている。
フィリピンの独立記念日にあたる6月12日にはマニラ市内の中国領事館前で中国に抗議するデモが行われ、市民が南シナ海の地図が描かれた中国国旗を燃やして当て逃げ事件に関する怒りを露わにした。
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