国名と「北方領土問題」 悲劇の島アイルランド その4
Japan In-depth / 2019年6月29日 7時0分
したがって、英国に対しては一貫して領有権の主張を続けてきたものの、反英テロに走ったIRAの行動は、公式に非難していた。
わが国では北方領土問題を巡って、「(領土は)戦争して取り戻さないと駄目じゃないですか」などと酒の勢いで放言し、大ヒンシュクを買った国会議員がいたが、アイルランドの政治家は(そもそも比べること自体が失礼だが)、はるかにまともであった。
北アイルランドの帰属をめぐる紛争は、王族までがテロで命を落とすなど、まさしく戦争状態だったが、英国はもとよりカトリック、プロテスタント双方の過激派、そしてアイルランド共和国政府も、この戦いを収束させる道を模索し続けた。
そして1998年の、世に言うベルファスト合意が成立し、北アイルランド政府を新たに立ち上げ、共和国は国民投票を経て、領有権の主張を放棄することとなった。「戦争だけは、やめないと駄目じゃないですか」というのが、理性を備えた政治家の発想というものであろう。
ブレグジットという大きな情勢の変化もあって、今後も予断を許さないが、ひとまず平和を取り戻し、治安も大きく改善されたアイルランドは、世界一住みやすい国(2015年『エコノミスト』誌の調査による)とまで言われている。
トップ写真:アイルランドのナショナルスクール(1901年)出典:Flickr;National Library of Ireland on The Commons
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