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仏で日本人の子供連れ去り非難

Japan In-depth / 2019年7月1日 18時0分

 


 ランベルトさんについて言えば、面会を許されても、現在の法制度では面会を強制執行することはできず、結局のところ拒まれてお子さんと会えないことは気の毒ではあるが、この様子を見ていると、強引な侵入を受ける側は、これ自体を暴力行為として感じるだろうというのが正直な感想だ。


 


 元妻側の主張はどこにも出てこないので、実際の状況は分からないが、こういった強引なやり方は、穏やかな日本では非常識な行動とも言えるだろう。この類の強引な態度をいろいろな形で日常で行われていたならば、日本人女性はモラルハラスメントを受けていたと感じていた可能性も否定できない。また元妻側としてみれば、現在ランベルトさんが住んでいるのはハーグ条約が結ばれていない台湾であり、反対に子供を連れて行かれた場合、元妻側の方が子供と一生会えなくなる危険性もある。フランス人側の主張のみが流されるが、この問題には、両者ともに理解してない、文化の違いを大きく感じさせられる。


 


 さらに、ドキュメンタリーの最後では、フランスのパリ日本文化会館の前で、「私達の子供は、日本に拉致されました」という横断幕を持ちデモを行った様子が紹介される。「フランス人の子供達が日本に誘拐された」、「日本は子供の人権を守っていない」とフランスでも訴えたのだ。ここでも、日本の法にのっとって離婚しているにもかかわらず、「拉致された」という強い言葉を浴びせかけられているのだ。


 


 なぜ、日本だけ単独親権になったのかと調べてみたが、単に昔からそうされていることが現在まで続いているだけに過ぎないようだ。しかも昔から続いてきた習慣でもある単独親権は、離婚も少なく、文化的に適合していた日本では長い間多くの人が納得していた制度だったのだ。


 


 戦後すぐは父親が親権を持つことが多かったが、1966年を境に母親が親権を得る割合が逆転し、現在は8割が母親が親権を持つようになった。そして離婚後は母親が子供を育て、父親が養育費を払い、たまに子供と面会する場合もあるという形が一般的になっていったのである。そのため、日本では、離婚とはそういうものだという感覚も強く、子供と会えない状況に使う言葉としても「親権を取られた」または「母親(父親)の方に引き取られ」というような表現で語られることが多い。


 


 しかし、共同親権が普通の国では、自分が子供と会えない状態は「連れ去り」など、犯罪を匂わす強い言葉が使用される。例えば、英国では、親権者による一カ月を超える連れ去り行為は、1984年児童虐待法によって「拉致」と定められていたりするなど、「誘拐」であり「虐待」であると、ネガティブな強い言葉をもって、子供と会わせない相手を非難することが主流になっているのだ。


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