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パフォーマンス理論 その11 休み方について

Japan In-depth / 2019年7月6日 7時0分

パフォーマンス理論 その11 休み方について


為末大(スポーツコメンテーター・(株)R.project取締役)


 


【まとめ】



パフォーマンスレベルが上がるということは、持っている力を出し切れるということであり、練習量ではなく、質。
自分の限界を超えられるような負荷をかけるためにはうまく休養することが重要。
一定期間競技から離れることで、客観的に見え、集中力や意欲を高められる。

 


 


【注:この記事にはリンクが含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depth https://japan-indepth.jp/?p=46604 のサイトでお読みください。】


 


 


選手にとって休み方はパフォーマンスに大きく影響する。陸上競技の勝負はある瞬間にどれだけのパフォーマンスを発揮するかに尽きる。4年に一回の五輪をとってしまえば歴史に名前が残る。反対にいくら練習で強く日常の試合を勝ちまくっても勝負所を外せば名前は残らない。私は、人生で何度かあるチャンスで力を出すためだけに練習も休みも存在すると考えていた。そのような人間にとっては休みは準備に見えていた。


初心者は一回のトレーニングでかけられる負荷が低い。例えば現段階でスクワットで100kgの重さが上がる筋力があったとしても、初心者は力の出し方やフォームの取り方がわからないからまず100kgはあげられない。それはそれに見合う筋力がないというよりも、持っている筋力を十分に発揮するだけの技術がない。このように技術がない人間にとっては、練習一回あたりの負荷はどうしても弱くなる。中学・高校の部活の練習時間が長くなりがちなのは、指導者が過去の経験から技術が未熟な中高生は一回の出力が弱いので量で確保したがるからだと思う。短い時間で疲労するにも技術がいる。技術がない人間は量で自らを疲れさせようとする。ちなみに私は中高生を育てる為に量に頼る文化が、練習では強いが一発が必要とされる試合で力が出ない選手を量産してしまっていると考えている。


 


パフォーマンスレベルが上がるということは、一回あたりの出力が高くなるということであり、それは持っている力を出し切れるようになるということでもある。そうなると量ではなく質で、短時間で強い負荷が身体にかけられるようになるが、一方で準備が重要になっていく。例えば万全の状態で出せるタイムが10″00の選手が、疲労しているときは10″10ぐらいしか出せないとする。この0″10の差は負荷の差であり、練習効果の差になる。高レベルでは、負荷の低い練習をいくら繰り返しても体が慣れてしまっていてほとんど変化が起きないので、10″10を何回繰り返しても10″10がコンスタントに出せるような体にしかならない。より高いレベルに引き上げるには、自分の限界を超えるような負荷をかける必要があるが、そのような強い負荷をかける為には体調を整えておく必要が出てくる。ここで休み方の技術が必要とされる世界に入る。


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