パフォーマンス理論 その12 リラックスについて
Japan In-depth / 2019年7月7日 7時0分
リラックスできるようになると何が起きるか。それは早く反応し柔軟に動けるようになる。リラックスとはフリーの状態であり、どのようにも力が入れられるということだ。反対に力が入っていれば一回抜いてからではないと力が入れられない。自分の手のひらで力を入れた状態でパーを作り、なるべく早くグーの状態の移行するのと、力を抜いて手を開いておいて、グーの状態に移行するのでは後者の方が早いと感じる。ではどうやれば力を抜けるかというと、必要な部分が必要なだけ支える必要があり、リラックスしたいがために結果として体幹を使えるような方向に選手の意識が向かう。
ちなみに陸上競技の短距離では高速で動いているように見えて実はそれほど早くない。卓球やバドミントンの方がよほど早い。走るという行為は、早さを競っているのではなく、移動速度を競っていて、いかにリズミカルに自分をドリブルさせるようにするかで速度が決まっている。例えばお風呂に入り、体を前後に揺らすと徐々に揺れが大きくなりいずれはお風呂の水が外に溢れるようになる。しかるべきタイミングで揺らすからそうなるわけで、もしタイミングを早くしても揺れは大きくならず乱れるだけだ。このように身体の中にある揺らぎを捕まえてタイミングよく揺らし続けることで速度が上がり続ける。レース中に急に遅れる選手は、早く動けなくなるというよりもこの身体のドリブルのリズムが掴みきれなくなって乱れているのに近い。身体を自由に揺らがせることができるのも、リラックスの恩恵と言える。
私はリラックスしたいという人間がいればまず適切な立位状態を作りそれを維持できるように、スクワットや体幹に近い部分のトレーニングを進める。その際にまず顎の力を抜いたり、足の指の力を抜いたり、いくつか部分的に力を抜いて遊ぶことを進める。結果として動きの中で何が必要で何が不必要かを体で学べるようになる。遠回りのようだがこうした繰り返しの先にリラックスがある。リラックスは効率化の結果であり、中心がくっきりした場合に生まれる現象だと私は考えている。
トップ写真)Pixabay Photo by skeeze
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