パフォーマンス理論 その13 負け癖について
Japan In-depth / 2019年7月8日 7時0分
為末大(スポーツコメンテーター・(株)R.project取締役)
【まとめ】
負け癖の入り口は負けた理由の探し方が原因。
負け癖のパターンは、堂々巡り、反省しすぎる、空気を読みすぎる。
原点に帰り、敗北にとらわれないことが重要。
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負け癖がつくと本当に辛い。勝ちたい勝ちたいと願っても、それが裏目に出てまるで引き寄せられるように負けてしまう。負け癖がつくと選手は試合に出るのが本当に嫌になる。試合のために練習をしているにも関わらずできれば練習だけずっとしていたいという気持ちにすらなる。
私は負け癖と勝負弱さは分けて考えている。勝負弱さは人生において向き合う性質のような弱点として捉えているのに対し(もちろん後天的に改善すると思うが)、負け癖は期間の長短はあれあくまで一時的なものだ。また負け癖はただ負けが続いている状態とは違い、客観的に見て勝てそうな状況でも負けてしまう状態を指す。いやむしろ勝てそうな状況になればなるほどまたあの時のように勝利を逃すのではないかと言う記憶がよぎり、事実そうなってしまう。スランプとも違う。スランプは実力自体が出せなくなるので、パフォーマンスが総じて低い。負け癖はパフォーマンス自体はそれほど変わらないのに勝負の局面でだけパフォーマンスが低い。
負け癖に限らず、競技における癖というものは、自分が勝手に編集した記憶が起こしている。例えばコインを投げて、裏が4,5回続くことはそれなりにあるだろう。機械であればそこになんの意味も見出さない。ところが人間は起きた出来事に何か理由をつけなければ気が済まない生き物で、負けたことに理由を探し始める。そしてそして自分に何か問題があるのではないかと考え始め、さらに次回の勝負の時に余計なことを考えてしまうようになり迷路に入り始める。全てを忘れられる人間がいるとしたら、負け癖は存在しない。敗北したという事実ではなく、敗北した記憶の編集の仕方によって負け癖が生まれる。
しかしながら、最初はただの記憶だったとしても、それが続いていくとだんだんと自信を失い、最後には自分の立ち位置をそこに置きはじめてしまう。要は自分は敗北する側なのだと自分でレッテルを貼り始める。一度その立ち位置に自分を位置付けると、そこから抜け出ることを、自分自身が邪魔をし始める。お前が勝てるわけないだろうと自分が自分を否定するようになる。引退後も続くことすらある。
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