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パフォーマンス理論 その14 量と質について

Japan In-depth / 2019年7月9日 7時0分

パフォーマンス理論 その14 量と質について


為末大(スポーツコメンテーター・(株)R.project取締役)


 


【まとめ】



量か質が正しいかどうかは勝利条件によって異なる。
量の最大の効果は均一化
量は誰にでもこなせるが、質は量によって技術が高まらなければいつまで経っても質をあげることは出来ない。

 


【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depth https://japan-indepth.jp/?p=46667 のサイトでお読みください。】


 


パフォーマンスを高めるのは量か質かが私たちの世界ではとても長く議論されている。これはもし効果があること=質が高いという定義にすれば、量はただのバランスの話にしかならず対立軸にはならない。ここではわかりやすくするために定義を、時間当たりの負荷が強く練習時間が短いことを質、時間当たりの負荷が弱く練習時間が長いことを量、とする。


量が正しいか質が正しいかは、結果にどちらがより貢献するかで決まる。結果とは何で決まるかというと、勝利条件で決まる。記録を出すことであれば記録をより高めることは貢献度合いが高いし、自分を成長させることが勝利条件なら自分を成長させることが貢献度合いが高い。また長期的には競技が高度化し、練習は試合の状況のシュミュレーションに近くなる。大人になると、いつまでも単語の記憶や文法を覚えるより、実際に話した方が英語が上手くなるのと似ている。そうなると一体自分たちは何を競い合っているのかという定義が重要となる。私であれば91cm程度のハードルを10個超えながら、胴体を一番早くゴールまで運んだ人が勝つことを競い合っていた。


仮に教育的なものを勝利条件に設定すると、量か質かのバランスが変わる。この場合は、勝利に貢献するかどうかよりも人間としての成長に貢献する方法が効果があるとされる。例えばGRITと言われる非認知能力は、何かに対して長期間取り組むことで鍛えられると言われていて、その対象は何でもいいとされる。このような能力向上を目的とする場合、競技成績を出すことよりも目標を持ち身体的精神的に負荷がかかることを継続すること自体が目的となる。教育的な場合目的は結果ではないという。プロの場合は結果以外の何物でもない。何を目指してスポーツを行なっているのかによっても効果的な量と質のバランスは変わるので、これはちゃんと自分で定義するかまたは指導者と合意しておいた方がいい。


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