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レーダで敗北 日本護衛船団

Japan In-depth / 2019年7月6日 22時36分

レーダで敗北 日本護衛船団


文谷数重(軍事専門誌ライター)


【まとめ】


・日本敗北の原因は船団護衛の失敗である。


・船団護衛の失敗はソーナーやヘッジホッグの遅れではない。


・日本はレーダの遅れにより米潜水艦の浮上活動許し、結果敗北した。


 


【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=46693でお読みください。】


 


日本は船団護衛の失敗により敗北した。米海軍による無制限潜水艦作戦で日本船団は壊滅し海上輸送は途絶した。その結果、日本の戦争経済は崩壊し敗北したのだ。(*1)


その原因は日本の対潜技術の遅れとされる。通俗的にはソーナーでの遅れや前投爆雷ヘッジホッグの不在、専門家向けでは垂直水温分布の測定不能、戦術と訓練の未徹底が挙げられる。「日本は対潜技術で遅れていた。だから米潜水艦を沈められずに敗北した」との理解である。(*2)


それは本当だろうか?


間違いだ。米潜水艦に敗北した原因はレーダ普及の遅れだ。それにより米潜水艦の浮上行動を許したため敗れたのである。



▲写真 XBT測定。ソーナー探知距離の把握には垂直方向の海水温度変化を測定する必要がある。だが日本海軍艦艇には測定機材はない。そのため戦争末期には統計データから夏と冬の期待探知距離係数を記した海図を作った。実際には午前と午後で垂直温度は変化するので役立たない代物であった。写真は使い捨て測定器XBTの投入状況。米海洋大気局NOAAのコレクションより。(撮影:Robert A. Pawlowski)


 


■ 浮上活動を阻止できなかった


日本護衛船団が敗北した理由はレーダ普及の遅れである。


日本海軍はレーダで遅れていた。見張は目視である。当然だが遠くは見えず夜にも弱い。そのため米潜水艦は日本支配海面でも浮上して行動できた。潜水艦は水上状態でも小さい。よほど近寄らない限り見つからないのだ。米潜水艦はこの機会を活かした。浮上活動により攻撃機会を増やして日本商船を沈め尽くしたのである。


「日本船団護衛はなぜ敗れたか?」の回答はそれだ。レーダ不備で米潜水艦の浮上行動を防止できなかったたためだ。


その悪影響は次のとおりである。第1に浮上レーダ捜索を許したこと。第2は浮上通信による集団攻撃を許したこと。第3は浮上先回りによる再攻撃を許したことだ。


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