レーダで敗北 日本護衛船団
Japan In-depth / 2019年7月6日 22時36分
▲写真 米海軍潜水艦にはレーダが搭載されていた。写真は44年11月のガトー級ガトー。米海軍写真を元に筆者がレーダ部を拡大挿入して利用。
■ 米潜水艦にレーダ捜索を許した
レーダ普及の遅れは日本船団護衛に悪影響を与えた。
その第1は浮上潜水艦による自由なレーダ捜索を許したことだ。
本来、潜水艦の捜索能力は相当に低い。潜望鏡は見落としが多く遠くも見えない。当時のソーナーも長距離探知は厳しい。そのため浮上目視捜索を実施した。ただ、やはり不確実であり目標の取りこぼしも多い。
だが米潜水艦は浮上レーダ利用でそれを克服した。距離30kmでの安定探知により日本船を確実に発見できるようになったのだ。
つまり、レーダにより船団発見数と接敵機会を大幅に増やせたのだ。
日本護衛船団は米国のレーダ捜索を阻止できなかった。レーダの遅れから浮上潜水艦を早期に発見できなかった。そのため護衛艦を差し向けて追い払えなかったのだ。
これが日本船団壊滅の理由の第1である。米潜水艦はレーダにより従来以上に攻撃機会を増やしたのである。
▲図
■ 集団攻撃を許した
第2は集団攻撃を許したことだ。それにより日本船団は一度の攻撃で大被害を出した。
米潜水艦は浮上により集団行動が可能となった。水中では通じない無線が使えるためだ。
そして日本船団に集中攻撃を仕掛けた。船団を発見した米潜水艦は無線で味方潜水艦を呼び小艦隊を作り集団で攻撃した。
結果、日本船団は大損害を被った。従来の潜水艦1隻の攻撃ではあまり被害は出ない。攻撃回数はほぼ1回、多くても2回だ。つまり船団被害、沈没・脱落は出ても1~2隻である。それが3~6隻の同時襲撃により一変したのだ。
これは昭和19年8月のヒ71船団で顕著である。米潜水艦6隻の集中攻撃で5隻が沈没したのだ。しかも船団を発見したUSSレッドフィッシュの戦果は撃破1隻であった。つまり無線集結がなければ「沈没なし」で終わっていたのだ。
▲図
■ 再攻撃を許した
第3が再攻撃を許したことだ。それにより日本護衛船団は全滅するまで攻撃を受け続けたのだ。
繰り返すが日本護衛艦のレーダ普及は遅れた。対水上見張はまず目視頼りである。特に夜は厳しい。潜水艦は浮上しても小さい。距離10kmでも発見できない可能性もあった。
対して米潜水艦はレーダを活用できた。既述のとおり船団の動静を30km先から把握できた。米潜水艦はこの状況を活かし日本船団への再攻撃を実施した。攻撃後に日本護衛船団の外縁、視程外を水上航行して先回りしたのだ。
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