国際テロとも戦えぬ日本 集団的自衛権の禁止とは 5
Japan In-depth / 2019年7月9日 11時33分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視 」
【まとめ】
・ 日本は国際テロとの闘争でも集団で行動しないのかと非難された。
・米側は憲法改正や9条の解釈変更で集団的自衛権解禁を要求。
・米国が同盟の誓約果たさないとき、日本は独立も主権も失うことになる。
【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=46723でお読みください。】
アメリカが日米同盟に対して双務性を求めるという動きは21世紀に入っても、さらに強固に続いていった。
2001年1月に二代目ジョージ・ブッシュ政権が登場すると、対日同盟の強化策を前面に打ち出した。だがその強化の方法は日本の集団的自衛権の行使解禁が好ましいとする意見が、同政権の最初の駐日大使のハワード・ベーカー氏からも「日米同盟の双務性の必要」として具体的に表明された。
▲写真 ジョージ・W・ブッシュ元大統領とハワード・ベーカー元駐日大使 出典:ブッシュ大統領; パブリック・ドメイン/ベーカー駐日大使; 在日米大使館ホームページ
2001年6月にはブッシュ政権に近い有力研究機関のヘリテージ財団が「日米同盟の重要性が高まったからこそ、日本の米軍との有事の効率的な協力や国連平和維持活動への参加を阻む集団的自衛権の解禁を求める」という骨子の政策提言報告を出した。同報告はそのための日本の憲法改正をも提唱していた。
同年9月にはアメリカ中枢への同時テロに対し、アメリカの同盟国の北大西洋条約機構(NATO)加盟諸国やオーストラリアが集団防衛権を宣言し、国際テロ組織や同組織を全面支援していたアフガニスタンのタリバン政権との戦いへの共同行動をとった。
だがアメリカの同盟諸国のなかでも日本はここでも背を向けた。集団自衛はできないためにアメリカには軍事行動では加担できない、という姿勢だった。その結果、米欧の批判を浴びることとなった。日本は国際テロとの闘争でも、集団で行動しないのか、という非難だった。
2003年3月に始まった米軍主導のイラクのフセイン政権打倒作戦とその後の民主化のための現地駐留でも日本の異端が鮮明となった。日本の自衛隊のイラク駐留こそ決まったが、集団的自衛権の禁止のために、現地ではオランダやオーストラリアの部隊に護衛してもらわねばならないという奇妙な事態が起きたのである。
この記事に関連するニュース
-
台湾への「戦略的曖昧性」をアメリカは変えるか アメリカ新政権で試される日本の外交力
東洋経済オンライン / 2024年9月23日 8時0分
-
【2015(平成27)年9月19日】参院で安保法制可決、集団的自衛権容認
トウシル / 2024年9月19日 7時30分
-
自民党を「ビッグモーター」にしたくなかった…石破茂が「裏切り者」と言われても"自民批判"を躊躇しないワケ
プレジデントオンライン / 2024年9月10日 10時15分
-
日中関係の再考 その7 中国の強大な軍事脅威
Japan In-depth / 2024年8月26日 11時0分
-
「憲法9条」でも「人員不足」でも「サイバー領域」でもない…私が考える日本の防衛上の最大の弱点
プレジデントオンライン / 2024年8月26日 9時15分
ランキング
-
1さよならイトーヨーカドー“福住と共に30年“”に幕 ハムにアイドル…ドームの記憶も一緒に…
STVニュース北海道 / 2024年9月23日 16時20分
-
2「打倒自民党。戦いの準備を進めていきます」立憲新代表の野田佳彦氏 27日には自民党総裁選
MBSニュース / 2024年9月23日 17時40分
-
3「ドーンという音がして黒煙が…」物流会社でガソリンを運ぶ大型トレーラー7台が焼ける 香川・坂出市
KSB瀬戸内海放送 / 2024年9月23日 9時40分
-
4ロシア軍の哨戒機、北海道礼文島沖の領空侵犯3回…空自戦闘機が緊急発進しフレアで警告
読売新聞 / 2024年9月23日 19時25分
-
5輪島市の水害 復旧作業は長期化か…7人が死亡 6人の安否や行方が不明 重機入れず人海戦術での捜索活動も
CBCテレビ / 2024年9月23日 19時10分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください