イランの対英仏独メッセージ
Japan In-depth / 2019年7月9日 18時40分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
「宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2019 #28」
2019年7月8-14日
【まとめ】
・イラン、核合意約束事項再び公然と逸脱。
・イランは英仏独に対し対米圧力を期待。
・中国ミサイル発射実験で台湾有事の戦略的バランス中国有利。
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日本政府が半導体製造に欠かせない化学物質3品目の対韓輸出管理体制を強化する方針を発表してから一週間が経った。韓国では日本の「報復」に対する反発が高まり、日本ボイコット運動が拡散しているとの報道もある。日韓両政府だけでなく、日本のマスコミでも意見や評価が割れており、ちょっとした騒ぎになっている。
▲写真 文在寅大統領 出典:ロシア大統領府
しかし、筆者にとってこの問題は所詮(と言ったら関係者には申し訳ないが)日韓の「売り言葉に買い言葉」に過ぎない。先週から起きた事件でもっと戦略的に重要な意味を持つのは、①イランが核合意の約束事項を再び公然と逸脱したことと、②南シナ海で中国が初めて対艦弾道ミサイル発射実験を行ったこと、の二点ではないか。
まずはイランから始めよう。8日、イラン原子力庁は「イランのウラン濃縮度が2015年の核合意で定めた上限(3.67%)を超え、4.5%程度になった」ことを明らかにしたという。1日のウラン貯蔵量300キロの上限超え措置に続き、今回は核合意義務停止の第二弾となる。実にイランらしい、考え抜いた対抗措置の内容と発表のタイミングだ。
今後は第3弾としてウラン濃縮度20%までの引き上げや遠心分離機の稼働数増加も検討するそうだ。一部のイラン核問題専門家は、「核武装はイスラム教で禁じられている」、「イランが本当に核兵器を作る気は全くない」などといった楽観論を垂れ流し、今回の措置は「絶望か八つ当たり」によるものだなどと分析する。本当にそうなのか。
コーラン(アル クルアーン)に核兵器のことなど書いてあるはずはない。イランの最高指導者が核兵器を禁止するファトワ(教義)を出しても、それがイスラム世界全体の規範になることはない。現にパキスタンは核兵器を持っているではないか。現在の国際政治の中で「核兵器は反イスラム」と言い切れる根拠など何一つないのだ。
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