北朝鮮、改訂憲法「核保有国」再明記
Japan In-depth / 2019年7月16日 11時0分
朴斗鎮(コリア国際研究所所長)
【まとめ】
・憲法改訂でも金正恩に核放棄の意思なく、そもそもできない。
・「金正恩が核放棄を決意」と広めた文大統領、苦しい立場に。
・内部の反金正恩勢力育成によるレジームチェンジがベスト。
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去る4月11日に開かれた北朝鮮の第14期第1回最高人民会議で改訂された「朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法」で金正恩委員長が「国家の代表」と表記されたことをもって、日韓のメディアはさまざまな解説をしている。
解説の中には、「金正恩委員長、国家の代表…北朝鮮、憲法で正常国家化へ試み」(中央日報日本語版2019/7/12)といったものや「金正恩氏、改正で“絶対統治完成”」などと報道(共同通信2019/7/11)したものもある。
しかし、金正恩委員長が国家の代表と明記されたことが「正常国家化へ試み」であり、憲法に名前が初登場したことが「絶対統治の完成」なのだろうか?憲法で国家代表として金正恩の名前が明記されても、三代の長きにわたって人権を無視し、抑圧を続け、核兵器で瀬戸際外交を続ける「首領独裁体制の異常国家」であることには変わりがない。
また憲法に名前が載ろうが載るまいが、金正恩の絶対権力は先代からの継承過程ですでに完成している。北朝鮮の憲法改訂に対するこのような解説は、北朝鮮理解には何ら役立たないだけでなく、重要な分析ポイントを見逃させることにもなる。
▲写真 北朝鮮第14期第1回最高人民会議(2019年4月11日平壌)出典:DPRK(North Korea)Twitter
今回の北朝鮮の憲法改訂で最も注目しなければならなかったは、憲法序文に明記されている「核保有国」表記がどうなったのかという点であった。しかし「核保有国」表記には全く変化がなかった。そこには「先軍政治によって、金日成同志の高貴な遺産である社会主義獲得物を誇らしく守護し、わが祖国を不敗の政治思想強国、核保有国、無敵の軍事強国に転換させ、社会主義強国建設の輝かしい大通路を切り開いた」と明記されていた。
■ ますます苦しい立場に立った文大統領
2018年に、金正恩が「朝鮮半島の非核化」との用語を使い米朝首脳会談に意欲を見せた時、一部の北朝鮮専門家・ジャーナリストは、それを「北朝鮮の非核化」と勘違いし、「金正恩が核放棄に本気で臨み始めた」と喧伝した。そして2018年4月20日の朝鮮労働党中央委員会で、金正恩が「今後経済建設に集中する」と主張すると、これを「核兵器建設と経済建設の並進路線」の転換ととらえ、「核放棄本気論」が拡散した。
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