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パフォーマンス理論 その24 年齢と適応について

Japan In-depth / 2019年7月19日 7時0分

パフォーマンス理論 その24 年齢と適応について


為末大(スポーツコメンテーター・(株)R.project取締役


 


【まとめ】



アスリートにとって時間は限られており、いつピークを迎える最適化をするかというのが重要
幼少期の早すぎる最適化は大人になってからのパフォーマンスを妨げる可能性が大きいので、幼少期には様々な体験をし、成熟してから競技特化型になるのが良い
年齢を重ねるごとに、自分の強みとトレーニングの要点を理解しているかどうかが鍵となる

 


【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depth https://japan-indepth.jp/?p=46928 のサイトでお読みください。】


アスリートにとって最も限られたリソースは時間になる。私は2000年から2008年までが代表に入っていた間で、実質8年間しか代表選手として活躍していない。成績という意味ではこの期間にアスリートの評価が決まる。それはつまりほとんどのアスリートは時間が間に合わず引退することを意味している。一方で私のように競技人生を長くできるとは限らない。私の基本的な意見は、なるべく生涯にわたってスポーツを楽しんでほしいというものだが、高校時代に燃え尽きたいから早くピークを迎えたいという人もいるだろう。いつピークを迎えるかというのはいつ完成形を目指すのかということで、言い換えればいつ最適化をはかるのかということになる。今回は20歳の後半から30歳にかけてピークを迎える前提でどのような取り組みが望ましいと考えているか書いてみたい。


まず幼少期(10-15才)の時点で、それなりに能力があった場合気をつけなければならないのは早すぎる最適化だろう。陸上では、例えば人間は若い時には大人と比べ、頭が大きく、体幹の筋肉がしっかりしていない。形が違えば同じ力を入れても表層に現れる身体の動きは違ってくる。同じ力で振った場合短いバットであれば早く振れるが、長いバットはゆっくりになるのと同じだ。これはつまり理想の力の入れ方を子供が実際に体得したとしても、表に見える動きは大人とは違っている可能性があることを意味している。具体的には体幹が弱いので足が引きつけられず、腕の力で引き戻すことも難しいので、大人よりも足が後ろに流れ気味で体も揺さぶりながら手足を振り回す動きになりがちだと私は感じている。言い換えれば少し体を揺さぶりながら足を流して走っている状態で上の世代に送り込むと成長とともに体幹が強くなり、ちょうどいい具合に収まるということだ。


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