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パフォーマンス理論 その27 ロールモデルについて

Japan In-depth / 2019年7月22日 7時0分

パフォーマンス理論 その27 ロールモデルについて


為末大(スポーツコメンテーター・(株)R.project取締役


 


 


【まとめ】



ロールモデルを持つことは基本的には効果的だが、一定のレベルを越えた先では、ロールモデルの設定の仕方次第で伸びどまる可能性がある。
頂点に近くなると自分の特徴を磨きに磨いてきた選手同士がしのぎを削っているので、自分の特徴を活かしていない戦い方では通用しない。
自分の変えられるところと変えられない部分を理解し、憧れではなく、自分の延長線上の選手をロールモデルにすると良い。

 


【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depth https://japan-indepth.jp/?p=46972 のサイトでお読みください。】


 


 


競技の始まりは大抵憧れから入る。私の場合はカールルイスだった。あんな選手になりたいと願いながら、懸命に練習した。ロールモデルを持つことの効果は大きく、基本的にはプラスに働く。やる気が出て頑張れる。だが、頂点を目指す中で一定のレベルを越えた先では、ロールモデルの設定の仕方次第で伸びどまる可能性がある。


普通人間は現在の自分との間にギャップがある存在をロールモデルに選ぶ。今の自分でも十分に到達可能であったり、すでに自分も実現できているような技能を持った相手はロールモデルにはなり得ない。自分ではできないことや、手を伸ばしても今は届かない場所に憧れの存在はある。人間は自分の苦手分野を得意としている人に憧れるようなところがあり、そういった自分とは異質の人間をロールモデルに選びがちだ。プレゼンが苦手な人はプレゼンがうまい人をロールモデルにしやすい。ロールモデルはしばしばコンプレックスの投影先になる。


自分とは違うタイプを憧れの存在に選びそこに向かっていくとどうなるのか。最初は自分の苦手なことに取り組むいいドライブになるのでプラスが大きい。ところが、少しずつ技能が高まり熟達してくると、どうしても最後の最後はしっくりこないということが起こる。なぜならば、頂点に近くなると自分の特徴を磨きに磨いてきた選手同士がしのぎを削っているので、自分の特徴を活かしていない戦い方では通用しない。もし通用していればただレベルが低いか、あなたのレベルが極端に高いかどちらかだろう。自分の特徴を活かしに活かしても通用するかどうかという世界では、自分の強みと特徴、バックグラウンドを直視せざるを得なくなる。


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