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コマツ、装甲車輌開発から撤退

Japan In-depth / 2019年7月23日 12時13分


▲写真 NBC偵察車 出典:Flickr;JGSDF


そもそも同車の搭載しているNBCシステムはほとんどが外国製であり、国産は車体だけ。エンジンも外国製だ。高いコストをかけて少数で、高い調達費用をかけて専用の車体まで開発して国産開発、生産する必要があったのだろうか。


コマツの装甲車の開発能力は高くない。率直に申し上げて、3流であり、せいぜい80年代レベルに過ぎず、トルコやUAE(アラブ首長国連邦)、南アフリカ、シンガポールなどのメーカーに比べて技術的に相当遅れている。ところが自衛隊もコマツも自分たちの見識や技術を客観的に見ることができていない。


それはひとりコマツのみならず、防衛省、陸上自衛隊の側の当事者意識及び能力の欠如が原因である。例えば軽装甲機動車の防弾能力の要求仕様は紛争地でゲリラなどが多用するライフルで使用される、7.62×39ミリカラシニコフ弾に耐えられれば良いとされおり、より強力な7.62×51ミリNATO弾及び7.62×54ミリロシアン弾には耐えられない。つまりNATO規格のレベル1の防御力すら満たしていない。



▲写真 7.62x39mm弾 出典:Wikimedia Commons; Malis


しかも被弾時に装甲内面が剥離して乗員傷つけるのを防ぐスポールライナーは経費がかかると省略された。当初左右のドアのガラスも防弾ガラスではなく、車内の騒音もひどい。しかも不整地走行能力が低く軍用装甲車のレベルにない。技術のレベルとしては70年代の装甲車である。


そもそも4名乗りの小型装甲車をAPC(主力兵員輸送車)としている奇特な軍隊は自衛隊以外に存在しない。8名の分隊が2つに分かれる上に、固有の無線機も機銃も装備していないので分隊長が分隊をまともに把握・指揮できない。


下車戦闘の場合は乗員も全員が下車戦闘するので、車輌の機動及び、火力支援が得られない。機械化歩兵のメリットをわざわざ捨てているのだ。つまり、陸幕は発注側としてまともな運用構想も要求仕様も書けなかった。発注の能力が低ければメーカーの能力も相応に低くなるのが当然だろう。


コマツの弾薬ビジネスも安泰ではない。先に発表された来年度からの防衛大綱は現大綱を引き継ぎ、「戦車及び火砲の現状(平成 30 年度末定数)の規模はそれぞれ約 600 両、約 500 両/門であるが、将来の規模はそれぞれ約 300 両、約 300 両/門とする」としている。つまり、コマツの弾薬の将来的には単純計算で売上が半減することが予想される。


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