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南相馬市の妊婦内部被爆報告

Japan In-depth / 2019年7月25日 8時52分

タイプ3 放射線検査を受けた自家栽培の食材を消費している


タイプ4 放射線検査を受けていない自家栽培の食材を消費している


 


3年10ヶ月にわたる調査期間に南相馬市における出生数は1,422人だった。全体のおよそ3割の妊婦が内部被曝検査を受けたことになる。


余談だが、本研究は南相馬市立総合病院での倫理委員会を通過し、臨床研究として実施されたものだ。内部被曝検査およびアンケート調査の結果を研究に利用することについては、個別に同意を取得した。


話を戻そう。この研究の結果は興味深いものだった。579人の合計804回の内部被曝検査で、一度も検出感度以上のセシウム(Cs)-134、およびCs-137は検出されなかった。以上の事実は南相馬市の妊婦におけるCsの内部被曝は無視できるレベルであることを意味する。


原発事故後の内部被曝は放射性ヨウ素(I-131)とCsが問題となるが、前者は半減期が8日と短かい。本研究に参加した妊婦は、最も早くて2011年7月の妊娠だから、原発事故で放出されたI-131は既に消失しており、胎児に影響する可能性はない。また、内部被曝検査の結果から、Cs-134, -137も妊婦には影響しないと言える。ストロンチウム(Sr)-90などの影響は完全には否定出来ないが、放出されたSr-90の量はCs-134, -137と比べて圧倒的に少なく、またCs-134, -137と異なる振る舞いをするとは考えにくい。


以上の事実を総合すると、南相馬市の妊婦に対する内部被曝の影響は無視できると言えそうだ。万が一、このような妊婦が産んだ胎児に何らかの先天障害があったとしても、避難をせず南相馬に留まったために蒙った内部被曝の影響ではないと言っていい。


原発事故で南相馬市は広範に汚染された。山間部と比較し、市街地の汚染は軽度で、除染などにより空間線量は日常生活に問題ないレベルだった。ところが、山菜や一部の魚介類の汚染は深刻だった。妊婦たちは、このような食材の摂取を避けた。


食材に関するアンケート調査は、妊婦が食材選びに細心の注意を払ったことを示している。2012年のアンケート調査の結果を、米から牛乳まで全食品をまとめて解析したところ、78%の妊婦が「タイプ1」とされる行動、つまりスーパーで福島県産以外を選択的に購入するという行動をとっていた。


食材別には、米60%、肉69%、魚72%、野菜/果物58%、キノコ72%、牛乳67%だった。汚染が深刻とされた魚とキノコを特に回避していたことがわかる。


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