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「再度の国民投票」不可避か 英ジョンソン新首相を占う(上)

Japan In-depth / 2019年8月6日 23時0分

「再度の国民投票」不可避か 英ジョンソン新首相を占う(上)


林信吾(作家・ジャーナリスト)


林信吾の「西方見聞録」


【まとめ】


・ジョンソン首相の離脱案を議会が可決する見込みはゼロ。


・解散・総選挙は不可避。「離脱か残留か」の事実上の再国民投票へ。


・やや高い確率で「離脱撤回・ジョンソン首相辞任」となる可能性。


 


【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによってはすべて見れないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=47209でお読みください。】


 


7月24日、ブレグジット騒動に揺れる英国で、ボリス・ジョンソン首相が誕生した。


もう少し具体的に述べると、23日に行われた保守党党首選挙で、穏健離脱派(これについては、後述)のジェレミー・ハント外相を大差で破った。メイ前首相は公約通り辞任し、新たに与党を率いることとなったジョンソン氏は、翌24日、バッキンガム宮殿にてエリザベス2世女王より組閣の大命を拝し、ここに新首相が誕生した、というわけだ。


ハント氏は外相のポストを外れ、新内閣はいわゆる強硬離脱派で占められた。


ボリス・ジョンソン氏は前回の東京五輪が開催された1964年、米国ニューヨークで生まれている。教育は英国で受け、パブリック・スクールの名門イートン校からオックスフォード大学というエリートコースを歩んだ。


ぼさぼさの金髪や、なにかと物議を醸す言動から、米国のトランプ大統領に「激似」だなどとよく言われるが、家系や教育的バックグラウンドはかなり異なっている。なにしろ18世紀の英国王ジョージ2世の子孫で(愛人が産んだ子の血筋であるため、王位継承権はない)、父親は欧州議会議員であった。大学卒業後、ジャーナリストとして働いた後、今世紀になってから政界に進出し、下院議員を経てロンドン市長も2期勤め、その後また下院議員に当選している。……このあたりのことは、すでに幾多のメディアから情報を得られていると思うので、彼が就任演説であらためて全国民に向けた公約、すなわち「10月31日までに必ずEU離脱を実現する。合意なき離脱も辞さない」ということが本当に可能かどうかを大胆予測しよう。


結論から述べると、五分五分よりもやや高い確率で「離脱撤回・ジョンソン首相辞任」ということになるのではないか、と私は見ている。順を追って説明させていただく。


まず第一に、ジョンソン首相が誕生するに至ったのは、あくまでも保守党員による投票の結果であり、立法権を持つ下院議員(上院は貴族院)の大部分は英国経済にとってのリスクが大きすぎる「合意なき離脱」に反対し続けている。ただ、今次の党首選の結果は、メイ前政権のような「決められない政治」に対する有権者の苛立ちが、相当なレベルに達したことを証拠立てているということは、見ておく必要があるだろう。


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