GSOMIA破棄は「反米援北」行動
Japan In-depth / 2019年8月25日 18時0分
文大統領は、抗日闘争を行った人は、共産主義者であれ誰であれ独立功労者として評価すべきだと主張し、義烈団の金元鳳(キム・ウオンボン)のような抗日運動での過激分子(北朝鮮政権樹立に参加し閣僚となり、韓国侵略の先兵となった人物)までも称賛した。文大統領には金元鳳をモデルとした映画「密偵」(2016)を見て涙を流したという話もある。
▲写真 金元鳳(キム・ウォンボ)出典:パブリック・ドメイン
文大統領はいま、韓国の現近代政治史を3・1運動―上海臨時政府―済州島4・3事件―4・19蜂起―80年代民主化運動―88年光州坑争―金大中・盧武鉉政権―ろうそくデモを経た文在寅政権との系譜に書き変えようとしている。そこには李承晩・朴正熙につながる保守政治の流れはまったくなく、朴正熙政権が日韓条約を結んで起こした「漢江の奇跡」もない。この歴史観が今回「日韓GSOMIA」を破棄に至らしめた根底にある。
■ SOMIA破棄の狙いは反日を利用した「反米援北」
日韓GSOMIAは米国の東アジアとインド太平洋戦略の一環として米国の肝いりで締結された条約だ。そういった意味でこの条約の破棄は、米国の戦略に対する公然たる挑戦といえる。今回のGSOMIA破棄は反日を「隠れ蓑」にした「反米援北」行動だったのだ。
米国務省と国防総省は8月22日(現地時間)、青瓦台のGSOMIA破棄決定に対して、一斉に「文在寅政権(Moon administration)に強い懸念と失望を表明する」との見解を表明した。米国が公式論評で「ROK(韓国)」と呼ばずに「文在寅政権」と呼ぶのは異例なことだ。米国がこの決定を文在寅の反米行動と見ているからだろう。ポンペオ国務長官も「韓国の決定に失望した」と表明した。この言葉も外交用語としては異例の強い表現だ。トランプ大統領は不気味な沈黙を守っている。
▲写真 ポンペオ米国務長官(2019年8月22日 カナダ・オタワ)。出典:米国務省 facebook
文大統領の反米行動は一時的利害から出たものではない。それは反米思想に根ざしている。彼が最も尊敬する李ヨンヒ、シン・ヨンボクなどはすべて社会主義者であり、従北反米主義者だった。
李ヨンヒは文大統領に強い思想的影響を与えた人物だ。文大統領は学生時代に“ベトナム戦で米国は必ず敗北する”との彼の論文を読んで喜悦に浸ったとしている。
シン・ヨンボクに対しては、平昌冬季五輪レセプションで「私が尊敬する韓国の思想家シン・ヨンボク先生」と演説した。シン・ヨンボクは1968年の統一革命黨事件で無期懲役を宣告され、1988年に特別仮釈放で出獄した人物である。統一革命党は地下党として、朝鮮労働党の指導下で「反米民族解放闘争」を指導した組織である。一網打尽にされたが、党首の金鐘泰(キム・ジョンテ)は北朝鮮で「金鐘泰電気機関車工場」に名を残している。
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