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GSOMIA破棄は「反米援北」行動

Japan In-depth / 2019年8月25日 18時0分

しかし韓国で「反米」を行動に起こすのは「反日」ほど簡単ではない。政界、経済界、そして軍の中に米国人脈が根を張っており、反米を全面に出すと韓国自体が持たなくなるからだ。それ故、文大統領はいつも米国に対しては本心を隠し面従腹背外交を行うか、反日を隠れ蓑にした反米を行っている。


文大統領の反米の裏には従北朝鮮がある。朝鮮中央通信は5月29日に「南(韓国)当局は、戦争協定(GSOMIA)の破棄という勇断をもって、意志を見せるべきだ」と文在寅に催促していた。GSOMIA破棄は金正恩への贈り物だったと言える。


このところ北朝鮮からの罵倒で焦っていた文大統領は、日韓摩擦にかこつけたGSOMIA破棄(反米)で金正恩を喜ばそうとした。この「誠意」で南北対話再開と金正恩ソウル訪問をなんとしてでも実現し、来年4月の総選挙で勝利しようと考えている。そして国会で3分の2を確保して憲法を改定し南北連邦制へと進もうとしているのだ。


最大野党「自由韓国党」は破棄の本質を「反米援北」と見抜き「韓米日の連携」よりも北朝鮮・中国・ロシア側を選んだ「理性を失った決定」として強く批判した。


 


■ GSOMIA破棄で曺国(チョ・グク)を救おうとした文在寅


文大統領は今、反日の急先鋒である前青瓦台民情首席秘書官の曺国(チョ・グク、54歳)を法務長官に据える人事で頭を痛めている。スキャンダルが溢れ出て反対が勢いを増しているからだ。そのために、GSOMIA破棄は反日世論を高め「曺国スキャンダル」から目をそらすためだとされている。期限の24日まで待たずに急いで22日に結論を出したのも「曺国の国会聴聞会」を勘案したものだという。そうしたことから「曺国のために祖国を捨てた」(韓国語で曺国と祖国の発音は同じ)との言葉が韓国の巷を賑わしている。



▲写真 記者会見する曺国前青瓦台民情主席秘書官(2017年5月25日 韓国・青瓦台)出典: flickr; Republic of Korea


来年4月の国会議員総選挙勝利を目指して、文大統領は、保守の圧迫のために朴槿恵前大統領弾劾の一等功臣尹錫悦(ユン・ソンヨル)検事を地検から異例の大抜擢で検察庁トップに据えた。もう一つの要である法務部長官には曺国を据えようとしているが、これが今世論の強い反対に遭遇している。


文大統領が寵愛する曺国は、ソウル大学法学部を卒業し米国留学の経験もある。学生時代から社会主義運動に参加し、社会主義革命で盧泰愚(ノ・テウ)政権の転覆を図ったとする「南韓社会主義労働者同盟事件」で逮捕起訴された(1990~93年活動・懲役1年執行猶予2年)。文在寅政権発足と同時にソウル大学法学部教授から、青瓦台(大統領府)の民情首席秘書官に転身した野心家だ。


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