首脳宣言なし、前代未聞のG7
Japan In-depth / 2019年8月27日 11時18分
▲写真 G7出席時のトランプ大統領 出典:Flickr; The White House
今回のサミットは、今の世界が国際主義、自由でルールに基づく開かれた国際秩序を目指す時代から、一国主義、国家主権を最優先する民族主義的、閉鎖的、差別的傾向を深める時代に移行しつつあるという現実を図らずも象徴しているのか。恐らく、こうした傾向はトランプ氏がいなくなった後も当分続くのだろう。
ところで、先週日本で最も注目されたのはG7サミットではなく、韓国による日韓GSOMIA終了宣言だった。多くの評論は韓国大統領の判断が如何に間違いかに関するものだったが、筆者は米韓、特に韓国の外交安保専門家たちが今回正論を封印し、敢えて沈黙を守っていたことに注目している。
何故彼らは沈黙を守るのか。物言えば唇寒しなのか。大統領に逆らうことは政策担当者として、もしくは言論人としての生命を脅かすのか。理由は様々だろうが、今こそ各国の専門家は勇気をもって正論を吐くべきだと思う。GSOMIAについては今週のJapanTimesと日経ビジネスに英文、和文でコラムを書いたので、ご一読願いたい。
〇 アジア
香港では反政府デモが長期化しているが、筆者は今週末に香港出張を計画している。何が起きるかわからないが、自分の目で香港の「抗議デモ」の実像を見たいのだ。幸い往復とも夜行便を使えば土日の週末をたっぷり香港で過ごせる。間違いなく強行軍ではあるが、行く価値はありそうだ。体力が持つかどうかだけが気がかりだが・・・。
〇 欧州・ロシア
ジョンソン英首相がG7サミットの際、欧州連合(EU)大統領と会談し、「どのような状況であっても現行期限の10月31日にEUから離脱する」と伝えたそうだ。会談前も両者は、「合意なき離脱となった場合の責任は相手側にある」と言い合ったらしい。しかし、主たる責任が英国にあることは明らかだろう。出ていくのは英国なのだから。
▲写真 ジョンソン首相 出典:Flickr; Chatham House
〇 中東
G7の最中、フランスが米国とイランの会談を仲介しようと動いた。G7後の共同記者会見で仏大統領は「今後数週間に米イラン首脳会談をセットしたい」と述べたが、米大統領は「万が一、状況が適切であれば、それに同意するだろうが、その前にイラン側は良いプレーヤーであるべきだ」と述べた。仮定法過去の微妙な言い方である。
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