朝日新聞の歪んだアメリカ像
Japan In-depth / 2019年8月28日 11時0分
そんな現地のアメリかの状況を踏まえて、この朝日のコラム記事を読むと、なおさらその偏向や粗雑さが目についた。豊永氏の主張は要するにトランプ大統領を支持する人はナチス・ドイツを支持した層と酷似する全体主義者たちだというのだった。
▲画像 朝日新聞への寄稿について紹介する豊永郁子早大教授のfacebook。出典:豊永郁子facebook
同論文では「権威主義者」という言葉がキ―だった。権威主義者Authoritarian とは文字通り権威主義Authoritarianism を信じる人を指す。権威主義というのは全体主義という意味でもあり、要するに非民主的な独裁主義をも指している。アメリカではトランプ大統領が登場したころ、反対派からよくこの言葉が浴びせられた。もちろん本人やトランプ支持派を頭から否定するネガティブなレッテル言葉だった。
豊永氏はこの権威主義についてトランプ氏がそうだというよりも同氏を支持したアメリカ国民が権威主義者だと大上段に断ずるのだった。その権威主義について以下のように書いていた。
「アメリカにおける権威主義の研究は、ファシズムを支持した人々の心理的特徴を捉えようとした、ドイツ出身の社会学者アドルノらの1950年の著書を嚆矢とする。90年代に政治学者の間でリバイバルがあり、研究の蓄積が進んだ。そしてトランプ氏が共和党の大統領候補に選出された予備選挙の段階で、ある大学院生が発見する。『権威主義者たちがトランプを支持している!』」
以上の部分がこの豊永論文の主張の最大の論拠なのだ。まず「ドイツのファシズム」といえば、当然、ヒトラーのナチス・ドイツである。その80年前のドイツのファシズムを支持した人々が権威主義者であり、いまアメリかでトランプ大統領を支持する人たちも同様の権威主義者だというのである。そしてその「例証」らしき記述は「ある大学院生が発見する」という叫び声の紹介だけなのだ。
なんと粗雑な「論文」だろう。朝日新聞記者が自分たちでこれを書かず、外部の朝日文化人に依存したこともなんとなく理解できるようだ。
ちなみに自分たちの嫌いな対象をナチス・ドイツにたとえるのは朝日新聞の伝統的な攻撃手法である。その対象とナチスの間にはまったくツユほどの関連がなくても、証明された悪の権化のイメージを一方的に目の前の敵に押しつけるのだ。この点では豊永氏は朝日の期待をきちんと体現していた。
▲写真 トランプ米大統領(2019年4月28日)出典:Donald J. Trump facebook
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