GSOMIA破棄「積極的防衛を」小野寺五典前防衛相
Japan In-depth / 2019年8月31日 11時27分
安倍: イージスアショアの秋田への配備が困難な局面を迎えており、代替地を考える必要が出てきている。
小野寺: 原則として地元に対して丁寧な説明が必要である。ただ、国防を担う国として、最終的に配備場所の決定は国の権限であるため、丁寧な説明を続けていくほかない。
私も現地を視察したが、目の前が海である上に、自衛隊の演習地の背後に住宅地がある。この点に十分配慮して、影響のないように配備出来るか、専門的に分析する必要がある。
秋田の港湾の一部に、(第2次世界大戦中に)空襲の標的になった旧軍の施設が存在した。歴史的なことを覚えている秋田の方々が、防御システムを置くことで逆に危険な状況になるのではないかと心配される方もいらっしゃる。(大臣時代には)この点を踏まえて「そういった過去の歴史があったことをよく知っている。だが、安全保障上、演習場について、1つの候補地として調査させてほしい」とお願いに入り、説明を行っていた。
▲写真 ©Japan In-depth編集部
安倍: 北朝鮮のミサイル発射が活発化している中で韓国の協力が今後得られない場合、平和安全法制の改定を中期的に検討していく必要はあるのか。
小野寺: 平和安全法制により日米の連携が強まり、防衛装備移転原則の見直しにより、日本は米国以外とも共同開発が行えるようになった。着実に日本の安全保障の法制度は前に進んでいるのではないか。
今後宇宙・サイバー・電磁波の領域において能力が必要になってくるかもしれない。「専守防衛」※の考え方では、相手から攻撃を受けて、それを防護する、というのが基本の考えだ。しかし、ロシアはクリミア侵攻において、予め電磁波で相手の能力を無力化するとか、砲弾の信管を無力化して不発弾にしてしまうとか(やっている)。これは逆に言えば防御的に有効な能力だ、と感じている。もしこういったことを積極的に検討し防衛体制を強めるとすれば、「受け身の防御」ではなく「積極的な防御」というか、「アクティブディフェンス」という考えが必要ではないだろうか。
例えば、強い電磁波を当ててミサイルの的をずらすとか、攻撃側の航空機のレーダーを無力化してこちらに入れないようにするとか、サイバー攻撃をされないように、逆に積極的にサイバーでアタックするとか、新しい分野については能力を上げていく必要がある。
これは物理的に相手がダメージを受けるのではなく、こちらが攻撃されにくくするために事前に相手の能力をダウンさせることである。専守防衛の範囲の中で認めて頂ける内容ではないか。
※専守防衛
相手から武力攻撃を受けたときにはじめて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢。出典:防衛省
トップ画像:©Japan In-depth編集部
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