由布院支えるカリスマ料理人
Japan In-depth / 2019年9月8日 18時0分
出町譲(経済ジャーナリスト・作家、テレビ朝日報道局勤務)
「出町譲の現場発!ニッポン再興」
【まとめ】
・由布院の旅館は連泊客のために情報交換を行う。
・「ゆふいん料理研究会」料理人がお互いに学び合う。
・地元“食材”は料理人と一緒につくられている。
【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合は、Japan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=47795でお読みください。】
大分県の由布院は、全国で屈指の人気を誇る温泉だ。近くの別府と違って、こちらは、大型温泉旅館ではなく、小さな旅館が軒を連ねる。自然に囲まれ、町全体にしっとりした佇まいが漂う。その魅力の一つは、土地の食材をつかった料理だ。
ユニークなのは、旅館同士が電話やファックスでやり取りしていることだ。
「あのお客さんにはきのうどんな料理を出した?」。「昨日は肉料理を出しました」。「それではうちは魚を主体に出します」。連泊する顧客を飽きさせないための情報交換である。
それが、由布院温泉の日常光景となっている。旅館の最も重要な一角、厨房さえも、お互いに公開し合う。
言い出しっぺが新江憲一だ。地域に根差しながらも、全国的にも有名なカリスマ料理人である。新江は1998年に「ゆふいん料理研究会」をつくった。現在は、由布院の旅館150軒のうち、30軒ほどのオーナーシェフが参加している。料理人の武器ともいえるレシピをお互いに公開した。料理人と言えば、秘伝の味などと称して、料理を囲い込むケースが多いが、それとは全く違うスタンスを貫いた。
「お客様は何を求めているのか。何を出せば喜んでもらえるのか。それを徹底的に議論しました」
研究会では、季節ごとに、食材をどのように料理するのか、さらにどう盛り付けるのか、などを学び合う。 例えば、春は山菜、夏はトマト、冬はカブ。地域とれる食材を、料理人がさばく。 レシピは見せ合う。お互いに味見をし、批評する。
それは、由布院の食のブランドを引き上げる結果をもたらした。由布院では宿を変えて、連泊する客が多いが、連泊すればするほど、魅力が増す仕掛けがある。
驚くべきことを平然とやった。ライバル同士なのに「なぜ」と不思議に思う。「地域がみんな仲良く頑張ることはいいことじゃないですか」。新江の淡々とした言葉に、私は拍子抜けした。「『門外不出』とか『秘伝』とかは大嫌いです。知りたい人にはどんどん教える。若い料理人はもっとどん欲に勉強してほしいと思っています」―。
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