「韓国がケンカをふっかけてきた」という誤解 「知日派」韓国人の声 その1
Japan In-depth / 2019年9月27日 11時7分
とりわけ昨年10月に、日本の最高裁に当たる韓国の大法院が、戦時中に徴用工だった韓国人の訴えを認め、日本企業に賠償を命じる判決を出して以降、両国の関係はどんどん険悪になっています。
それ以前から、領土問題はくすぶっていましたし、歴史問題がからむと、とかくエキセントリックな意見が人気を博するような傾向は、どちらの国にもあったと思いますが。
ただ、日本のネット社会の一部で信じられている、
「韓国が、またまた歴史問題を蒸し返して、ケンカをふっかけてきた」
という見方に対しては、それは事実ではない、と明確に申し上げたい。
まず徴用工とはなにかと言いますと、戦時中の日本には国家総動員法というものがありまして、国家の要請があれば、本人の意志と関わりなく軍需工場などで働かねばなりませんでした。この制度が植民地であった韓半島(朝鮮半島)にも適用されたのです。そして、徴用された韓国人や遺族が、謝罪と未払い賃金などの補償を求めて訴訟を起こしたわけですね。
ネットの一部では、
「日本人労働者と同様に衣食住が保障されており、奴隷労働などではなかった」
「そもそも単なる出稼ぎ労働者だ」
といった〈研究発表〉もなされてますが、問題の本質が理解できていないのに、こういうデータがあるぞ、などと言われてもねえ。
もちろん日本政府は、ここまで愚かなことは言っていません。単に、植民地支配にからんで生じた問題は、1965年の日韓請求権協定ですべて解決済みなので、このような判決は「国際法に照らしてあり得ない」と反発したわけですね。この発言は安倍首相自身のものです。
▲写真 安倍首相 出典:首相官邸Twitter
そこで、韓国政府に抗議し、そこからどんどん問題がこじれていったわけですが、これを韓国人の目から見たら、ケンカをふっかけてきたのは日本の方だろう、ということになるわけですよ。
たしかに現代の国際社会では、条約や二国間協定といったものは、国内法や司法判断に優越する、と考えられています。
しかし、だからと言って、どこの世界にこんな抗議をおとなしく受け容れる政府があるんですか、という話ですよ。内政干渉どころか、韓国の三権分立が脅かされたも同然の行為ではありませんか。
日本の政治家がこの判決について「遺憾に思う」のはまったく自由ですし、その意見を世界に向けて発信するにも、やはりまったく自由ですが、韓国政府に抗議するというのは、あきらかに筋が違う。
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