高松丸亀商店街「まちを縮める」(下)
Japan In-depth / 2019年10月4日 18時0分
出町譲(経済ジャーナリスト・作家、テレビ朝日報道局勤務)
【まとめ】
・地権者とテナント双方に厳しい競争原理を導入。
・高齢者パラダイスを目指し、医療充実と地域でお金が回る仕組み作り。
・固定資産税は再開発前の9倍、税収に貢献。
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■ 第三セクターも「民」主導で
そしていよいよ再開発計画は動き出す。ポイントとなったのは、新たにつくった第三セクター「まちづくり会社」だ。社員は、全国からまちづくりのプロを公募して選んだ。彼らは東京などで活躍していた面々だ。1年契約で実績を残さなければ、契約は打ち切られる。
具体的な仕組みはこうだ。地権者は土地をまちづくり会社に60年間貸し出す。土地の使用権については、「まちづくり会社」に譲り、運営や管理を委ねる。
まちづくり会社は、テナントを探し、賃料を回収する。その賃料は最終的には地権者に支払われる。興味深いのは、地権者にも、テナントにも厳しい競争原理を導入していることだ。地権者に支払うお金は、テナント店舗の売上高次第で変動する。売り上げが下がると、地権者の受け取りも減る。
しかも売上高が下限を下回ると、テナントは営業権を失ってしまう。実際に、権利を失ったテナントも続出した。
「売り上げがでないということは、マーケットの支持を失っているということです。どんどん店舗が入れ替わった方がいいのです。地権者も一生懸命、まちづくり会社やテナントと協力して売り上げを伸ばそうとします」。
消費者のニーズに合わせることを第一に考える。つまり、ショッピングセンターの合理的な店舗運営システムを導入し、店舗を入れ替えていく。それを担うのは、プロ集団のまちづくり会社だ。商店街のデベロッパーとして、店舗配置のかじ取りを担う。甘えは許されない。
写真)高松丸亀町商店街
出典)著者提供
■ 高齢者のパラダイスへ
瀬戸内海に面する高松市は商都として知られ、かつて商圏400万人(四国4県)と豪語していた。基幹産業は商業だった。
その後、戦後の人口増加や経済成長で、都市は大きく広がった。バブル期に中心街の地価が急騰したことも、郊外での住宅立地を加速した。広がりすぎた「まちを縮める」作業が必要になってきた。
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