ウォーレン人気は続くのか?
Japan In-depth / 2019年10月11日 11時34分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視 」
【まとめ】
・民主党指名争いでリベラル派左派のウォーレン氏の支持率が急上昇。
・バイデン氏は「ウクライナ疑惑」で、サンダース氏は「健康面」で後退。
・ウォーレン氏の出自が虚偽と判明し、弱点に。勢い維持できるか注目。
アメリカ大統領選の民主党候補のなかでエリザベス・ウォーレン上院議員が急速に支持率を高め、全米世論調査で初めて民主党側での首位に立った。政治的には民主党リベラル派でも左派とされるこの女性政治家は大企業の規制や高所得層への高税という急進的な政策で知られる。
そのウォーレン候補はなぜいま人気を高めたのか。その人気はどこまで続くのか。同候補が来年の大統領選ではトランプ大統領に挑戦するという可能性も浮かんだいま、同候補に光を当てることも必要だろう。
アメリカ各種世論調査の総合機関「リアル・クリアー・ポリテックス(RCP)」の報告によると、2020年の大統領に出馬を目指す民主党各候補の間では10月6日ごろからウォーレン候補が初めて継続的に首位の支持率を保つようになった。
各種の全米世論調査では10月1日には前副大統領のジョセフ・バイデン候補が32%、ウォーレン候補が21%、現上院議員のバーニー・サンダース候補が19%という支持率だった。
ところが10月8日にはウォーレン候補が29%、バイデン候補が26%、サンダース候補が16%という数字となった。さらに翌9日にはウォーレン29%、バイデン25%、サンダース14%という調査結果が判明した。
この数字の動きはこれまでの数週間ずっと3位までに留まっていたウォーレン候補がトップに立ち、しかもその首位の座を初めて保ったようにみえる。これまではバイデン候補が他の2人に大きく差をつけて、圧倒的な先頭走者となっていたのだ。
この変動の結果、アメリカのメディアも、政治学者もみなウォーレン候補に新たな視線を向けることとなった。同候補は来年早々からの大統領選予備選での党員集会や予備選挙が全米でもまっさきに開かれるアイオワ州やニューハンプシャー州でもバイデン候補の支持率を僅差ながらも追い越すという世論調査結果が出た。
だからこの傾向が続けば、2020年の大統領選では民主党候補にウォーレン候補が指名されるという可能性も非現実的ではなくなったわけだ。つまり来年の選挙戦はトランプ大統領対ウォーレン上院議員という対決になる見通しも浮かんできたことになる。もちろんまだまだ予測不能の要因は多数あるが、全米のウォーレン候補を見る目が急に変わってきたことは事実である。
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