令和時代になぜ憲法改正 その4 カラスも行使する集団的自衛権
Japan In-depth / 2019年10月18日 19時0分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・日米同盟の片務性への不満が一般の米国民に広がる危険あり。
・護憲派主張の欠陥は国際環境を無視する点。自然の摂理にも反する。
・憲法論議には米国の動向と国際的な視点踏まえる姿勢が不可欠。
そして2019年の現在、アメリカ側では日本が憲法を改正して、防衛面で普通の国となることが日米同盟への寄与となり、米側の国益に資するという認識が超党派で定着してきた。
この流れは長年の「日米安保はビンのフタ」という沖縄駐在のアメリカ海兵隊司令官の言葉に象徴された「日本は軍事面で抑えておいたほうがよい」という思考からの脱却だった。その変化の理由はまず国際情勢の変化と米側の負担過剰の意識に加え、同盟パートナーとしての日本への信頼の増大でもあった。
だがアメリカ政府は日本に憲法を改正してほしいとは公言はしない。他国の憲法の扱いに要求をぶつけることの不適切さを認識しての配慮だろう。
▲写真 海自護衛艦「かが」を視察する日米首脳(2019年5月28日 神奈川・横須賀市)出典: Flickr; The White House (Public domain)
しかしアメリカ側の現状への不満はもう明白なのだ。トランプ大統領が日米同盟の不公正さをたびたび指摘するのも、その表れである。同大統領は日本の集団的自衛権の禁止から生じるいまの日米共同防衛面での片務性をもはや有害だとして批判するのだ。その批判を延長すれば日本の現行憲法の特殊性にぶつかることは言を俟たない。
こうした状況はアメリカ側での日米同盟堅持の政策にもやがては影響しかねない。同盟への支持が揺らぎかねない。「日本とのこんな不公正な同盟をなぜ維持するのか」という疑問がアメリカ側一般レベルでも広がる危険さえあるのだ。
そしてさらに危険なのは現在の日米同盟のままではアメリカが中国や北朝鮮との万が一の軍事衝突の際に日本をともに戦う味方として当てにはできないという懸念である。
現実のアメリカの抑止力、戦闘力でも日本が米軍と行動をぴたりと一致させるか否かでは重大な違いがある。要するにいまのままではアメリカからみれば、本当の危機に面したときに日本が完全な仲間なのかどうかがわからないということなのだ。
こうみてくると日本の憲法改正論議ではアメリカの意向はやはり主要な要因とみなさざるをえないことが明確となろう。
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