トランプの好敵手、ウォーレンとは
Japan In-depth / 2019年10月19日 23時0分
まず、2016年の大統領選でトランプ氏は、賃金の上昇率が冴えず、持てる者と持たざる者の経済格差が拡大するなかで没落し、既成の政党政治に満足できない白人たちに対して白人国家主義という「解決策」を示し、彼らの熱烈な支持を受けて当選を果たした。
バイデン候補は民主党内で主流派であるがゆえに人気が高く、トランプ大統領との一騎打ちであれば勝てるという世論調査の結果があるものの、身内の腐敗疑惑などに見られるように旧型の政治家であり、トランプ大統領の国家主義に惹かれる白人層を取り戻す切り札にかける。
こうした背景をもとに、トランプ氏と同様に、主張が極端なウォーレン氏とサンダース氏が民主党で有力候補に浮上したのだ。極端なポピュリストのトランプに対抗するには、穏健派ではなく極端な進歩派のポピュリストで、というわけだ。
事実、これら2人の候補の政策は大衆受けする、ほぼ共通するものが多い。例えば、大学教育の無料化、最低賃金の15ドルへの引き上げ、労働組合の強化、高所得者層への裕福税の累進課税、福祉やセーフティーネットの拡充、金融機関などウォール街への規制強化と優遇撤廃、など一般的に左派の掲げる政策は大筋で同じだ。
また、両候補にとって特に重要なのは、欧州型の国民皆保険制度だ。ここまでは共通なのだが、サンダース氏が「利潤目的の民間保険を全廃して政府が運営する保険制度への統一」を唱えるのに対し、ウォーレン氏の主張は「公的保険の拡充」にとどまり、民間保険との共存を構想している。
ウォーレン候補とサンダース候補の決定的な世界観の違いが、この国民皆保構想の相違に端的に表れている。すなわち、ウォーレン氏は「改革派」の社会民主主義者である一方、サンダース氏は「革命派」の民主社会主義者なのだ。
▲写真 ウォーレン氏とサンダース氏は「国民皆保険制度」への考え方に違いがある。写真は医師による診察(資料)。出典: Pixabay; hamiltonpaviana
ウォーレン上院議員は基本的に資本主義市場を信奉する一方で、サンダース上院議員は資本主義の自浄作用を全く信用しておらず、米国に社会主義革命を起こそうとしている。だがウォーレン氏は、資本主義の暴走を防ぐための強固な規制で対応できると主張する。
ウォーレン氏はある対談において、「市場の力は素晴らしい。市場のおかげで人々が豊かになり、機会も増大する」と語っており、この部分だけを切り出せば、共和党の保守派議員の発言と変わらない。事実、同氏は過去に共和党支持者であった時期がある。
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