トランプの好敵手、ウォーレンとは
Japan In-depth / 2019年10月19日 23時0分
保守派と違うのは、以下の部分だ。「だが、市場は公平でなければならない。市場に公正なルールがなければ、権力のある金持ちのみが総取りをする社会になってしまう。この点こそが、米国の誤ったところだ」。
この歪んだ資本主義を是正するためにウォーレン候補が構想するのが、「資本主義が正しく機能していた時代」のニューディール型の強い規制だというわけだ。そのため、ウォーレン氏は米国が繁栄していた栄光の過去と、その時代の強力な規制をノスタルジックに見ている。
しかし、資本主義には自浄能力がないとするサンダース氏は、「革命」という未来を夢見るのである。この点が、現体制に絶望した一部の若者の間で、サンダース氏がカルト的な人気を誇る秘密である。
こうして見ると、社会主義に対する強い抵抗のある米国社会では、過激すぎるサンダース候補よりも、ウォーレン候補の方が現実的な選択肢であり、より受け入れやすいといえる。
▲写真 ウォーレン氏とサンダース氏は「市場」への考え方も異なる。写真はニューヨーク証券取引所。 出典: Pixabay; skeeze
■ トランプ大統領はウォーレン現象を歓迎か
現在、民主党の大統領予備選でトップを走るウォーレン上院議員の人気がこのまま続くかはわからない。だが、彼女が最終的に民主党の大統領候補になれば、トランプ大統領に勝てないとの分析が優勢だ。
ウォーレン候補が最も弱い点は、国民皆保険制度の財源問題であろう。現実的に考えて、中間層の増税なしには皆保は夢物語なのだが、その肝心な部分について明言を避けている。10月16日の民主党の大統領候補討論会でも、そのはっきりしない態度が他候補者からの集中砲火を浴びていた。
ウォーレン氏が本選に進めば、その点がトランプ大統領から突かれることは間違いない。トランプ氏は大統領選に向けて中間層減税を打ち出す予定であり、「増税のウォーレン」と「減税のトランプ」を比較すれば、有権者がどちらを選ぶかは明白である。
▲写真 トランプ米大統領(2019年10月12日)出典: The White House facebook
翻って、「米国第一」を掲げるトランプ大統領の国家主義に対して、ウォーレン上院議員は「経済愛国主義」なるものを打ち出し、米国民への忠誠を捨てて海外に工場を移転した製造業企業を強く非難している。
しかし、トランプ氏とは違って、ウォーレン氏はグローバル化が肯定的な効果をもたらすことができると信じている。そのため、「グリーン製造業計画」を掲げ、環境にやさしい産業を全米各地域にくまなく公平に配置して、新たな雇用を創出し、そのような産業が生産した製品や開発したクリーンな技術をグローバル市場に輸出する構想を持っている。
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