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自滅への道歩む陸自ヘリ部隊

Japan In-depth / 2019年10月22日 21時14分


▲写真 戦闘ヘリコプター AH-64D (アパッチ・ロングボウ) 出典:Flickr; JGSDF


更に申せば、本来OH-1とチームを組む戦闘ヘリAH-64Dは陸幕の無策で62機調達されるはずが、たった13機で調達が中止された(内1機は事故で損失)、実際に作戦可能機は2~3機に過ぎず部隊として活動できる状態ではない。その上AH-64Dは後5年ほどでサポートが終わり、全機がスクラップとなる運命だ。本来AH-64Dで更新されるはずだったAH-1Sにしても老朽化と旧式化が進み稼働率も激減しているのでこれまた戦力とは言い難い。チームを組む攻撃ヘリが不在でOH-1だけ改修しても意味がない。


 


▲写真 対戦車ヘリコプター AH-1S (コブラ) 出典: Flickr; JGSDF


陸幕は本年度予算で牽引式のFH70榴弾砲の更新として19式自走155ミリ榴弾砲7両 を51億円で調達している。合わせて初度費17億円を要求した。そして来年度でも19式自走155ミリ榴弾砲7両を 47億円で要求している。



▲写真 99式自走155mm榴弾砲 出典:Google 陸自アルバムアーカイブ


だが陸自の特科(砲兵)には上記のように航空観測手段がない。特科用に開発したヘリ型UAV、FFOSは能力が完全に不足している。またこれをベースに情報用に開発されたFFER共々、筆者が報じたが東日本大震災で一度も飛ばなかった。それは信頼性が低かったからであり、これは防衛省も国会答弁で認めている。


このため追加の調達はされていない。来年度で要求されるスキャンイーグルは情報用であり、特科用ではない。スキャンイーグルはFFRSの信頼性が問題となり、東日本大震災の「戦訓」を活かして「緊急」に試験調達されたにもかかわらず、戦力化は来年度以降である。初期作戦能力獲得には数年がかかるだろう。大震災からおよそ10年経っても、必要数は揃わない。まるで亀の歩みのようだ。東日本大震災という「実戦」の「戦訓」から一体何を学んだのか。大規模な震災があったらどうするのか。事実、東日本大震災後には熊本の震災や多くの大規模災害が発生している。陸幕には危機感と当事者意識、能力が欠けている。当然当分これを特科に回す余裕もないだろう。



▲写真 カタパルトに設置されたスキャンイーグル 出典:Wikimedia Commons;Gunnery Sergeant Shannon Arledge of the 2nd Marine Aircraft Wing (Public domain)


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