自滅への道歩む陸自ヘリ部隊
Japan In-depth / 2019年10月22日 21時14分
陸自の特科は目が見えず、耳が聞こえないボクサーのようなものだ。にも関わらず、多額の税金を投じて新しい榴弾砲を調達するのは税金の無駄使いのみならず、自らを弱体化することだ。新型の自走砲よりも観測手段の確保の方が優先されるべきだ。
更に申せば、陸自でOH-6は連絡用や軽輸送にも多用されてきた。2名用のシートしかないOH-1にはこれもできない。また後述する偵察用のUAV、スキャンイーグルも同様だ。偵察だけできればUAVでも代用が利くが、軽輸送は不可能だ。このような機体は災害派遣でも必要だ。また自衛隊では存在しないが、メディバック(負傷者後送)ヘリも必要だ。
これらの任務を近く導入される中型汎用ヘリ、UH-Xで行うのであれば効率が悪いしコストも掛かる。そうであれば軽輸送やメディバックにも使用できる双発の偵察用の小型ヘリが必要だ。
メディバックに限るならば、少しサイズは大きいがドクターヘリとして多用されているエアバスヘリのH-145が適任だ。H-145はこのような任務のために米陸軍の州兵向けUH-72Aラコタとして採用されている。
▲写真 UH-72A ラコタ 出典:Wikimedia Commons; Staff Sgt. Teddy Wade (Public domain)
例えばメディバック用のヘリを十数機調達し、普段は民間のドクターヘリとして活用してはどうだろうか。装備人員は自衛隊持ちで、運用費は自治体の負担とすれば自治体の負担も減らせる。自衛隊の医官やメディックは「実戦」を通じて技能の向上が見込まれる。技能向上ができないことが医官やメディックの離職原因の一つだからそれを防ぐ事もできる。それで、有事にはこれらのヘリをメディバック用として運用するのだ。
陸自では2026年から現用の96式装甲車の後継車輌が導入されるが、すでに派生型として装甲野戦救急車が導入されることが決定されている。そうであれば他の先進国でも有しているメディバック用ヘリの導入も検討すべきだ。組合わせれば迅速な負傷者の後送が可能となる。H-145あるいはより小型のH-135にはエアバスヘリのHフォースと呼ばれるロールオフ・ロールオンが可能な武装キットも装備できるので簡易な武装ヘリとしても使用が可能だ。
▲写真 EC-135 (現在はH-135と改称) 出典:Wikimedia Common; Tagishsimon
2020年代前半には陸自のヘリ部隊は自らの失策によって壊滅する。かといって、オスプレイなど高価な装備の導入によって予算は圧迫されており、新規の攻撃ヘリを数十機も導入するのは現実的ではない。そうであれば偵察にも軽輸送にも使え、武装化可能な汎用ヘリの導入を検討すべきだ。
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