1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

岩手二戸市公民連携「オガール流」

Japan In-depth / 2019年11月30日 7時0分

このプロジェクトには、もう一つ追い風があった。国の法律改正で、新たな制度が導入されたのだ。この制度で、民間事業者は都市公園の整備に参入しやすくなった。設置管理許可期間の延長などの特例措置が設けられたのだ。その結果、飲食店や売店の設置と公園施設の整備を一体的に進めやすくなった。老朽化する都市公園の再整備は待ったなしの課題だ。国にとっては、民間マネーを役立てようという考えだ。


温泉センターは2019年3月末に閉館し、既に解体が完了している。株式会社カダルミライが提案する新施設「カダルテラス金田一」は、日帰り温泉の機能に加え、ビジネス利用者・合宿者向けの部屋で構成する宿泊施設やフードコート型の飲食部門などを備える計画となっている。2020年度中には、整備が完了する見込みだ。



▲写真 イメージ『二戸市公民連携事業構想(金田一温泉周辺地区)』 出典:カダルテラス金田一


新施設は、民設民営の施設。そのため、金融機関の融資による資金調達を実施する。補助金一辺倒の従来型のハコモノとの違いはここだ。その際、大事なのは、収支見通しとなる。直営の日帰り温泉や宿泊施設などがどれぐらい儲かるか。それがベースとなり、整備にかけられる金額が逆算で算出される。金融機関はその収支計画を厳しくチェックし判断する。


新施設の整備にあたり、特別目的会社(SPC)である「株式会社カダルエステート」が設立された。この会社が施設を保有。資金調達を行い、整備事業を行っている。この会社をつくったのは、運営会社である株式会社カダルミライだ。会社を分離したことで、連鎖倒産を防ぐことができる。


今回のプロジェクトは民間事業なので、リスクはある。二戸市では「資金調達に向けた収支計画の精査、サービスの作り込み、オープンに向けた営業努力と情報発信等を徹底し、地域や利用者とともにプロジェクトの発展を目指していくほかない」としている。


株式会社カダルミライ・株式会社カダルエステート両社の代表を務める大清水吉典氏は、生まれも育ちも金田一温泉。地元高校を卒業後に地元企業へ就職し、今も家族とともにこの地域に暮らしている生粋の地元人である。


同氏は、「もちろん、カダルテラス金田一という施設を、民間自立の施設としてきちんと営業していくことが、まず第1の目標です。しかし、このプロジェクトの究極目標は常に、金田一温泉郷の活性化にあります。」と語る。会社の設立当初より口にしてきたという「地域に明かりを灯す」というミッションの達成に向け、まずは目の前のことひとつひとつを着実に進めている。


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください