対中強硬姿勢でトランプ再選【2020年を占う・米中関係】
Japan In-depth / 2019年12月31日 21時43分
このような強硬な論調の高まりが、同国内ですべてを指導統制する中国共産党の習近平国家主席の意図を汲んでいないとは考えづらい。
▲写真 習近平国家主席 出典:President of Russia
一方の米国でも、中国のウイグル人イスラム教徒の弾圧、香港での警察の暴力、市場規模を背景にした欧米企業に対する価値観の押し付け、習近平思想の行き過ぎとしての焚書、軍事拡張のエスカレート、北朝鮮の核兵器や大陸間弾道弾(ICBM)ミサイル開発への陰の援助などに対する批判がじわじわと超党派で高まりを見せつつある。
▲写真 北朝鮮金正恩委員長と会談する習近平国家主席(2019年6月)出典:中国外務省
2020年の大統領選を前に、現職のトランプ大統領や民主党の対立候補も、手っ取り早く人気取りができるため、ポピュリスト的な民意に基づく中国たたきを行わざるを得ず、米国民の対中感情はさらに悪化しよう。
しかし、選挙を勝つための「道具」に過ぎない中国たたきも、その言霊(ことだま)が独り歩きを始め、選挙期間を超えて米国民の心に深く根差すようになる。同じように中国の米国批判も抑制をしなければ、2010年代初頭の反日言説の利用が一時、共産党のコントロールできない事態に陥ったように、共産党の意図を超越して独り歩きしかねない。
このようにして安易に発動されるナショナリズムによって2020年には米中両国で互いへの反感が強まり、中長期的な米中戦争への秒読みが早まるターニングポイントの年になるだろう。
■ 反中を掲げるトランプ大統領の再選
こうしたなかトランプ大統領は、民主党のコントロールする米下院において「権力乱用」及び「議会妨害」で弾劾され、同党のナンシー・ペロシ下院議長がこれら2つの条項を上院に送付しないために、共和党がコントロールする上院で自己に有利な裁判が開かれる目途が立たない。
こうして、進むに進めず、退くにも退けない「永遠に終わらない中間地獄」で苦しむトランプ大統領は、再選を確実にするために反中の姿勢を強化させると予想する。民主党の候補も誰であろうが対抗上、中国を攻撃するだろう。
しかし、トランプ大統領には中国に打撃を与えられる大統領令をかなり自由に発出できる現職の強みがある。前にも述べた個別の中国企業の上場廃止などを通して、投資制限によるマネーの流れを止める「資本規制」を行い、ファーウェイ(華為)など中国製品や技術の締め出しを強化して、米国で活動する中国人スパイの大々的な摘発を実行、さらには予期されていない突然の対中報復関税復活など、使える「武器」の種類は多い。
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