「分断の時代」に終止符を(上)【2020年を占う・社会】
Japan In-depth / 2020年1月5日 11時0分
さて、本題。
こうした議論が幾度も蒸し返されるのは、記事のテーマそのものであった、加害者が「上級国民」であったから警察も「忖度」して、逮捕しなかったに違いないと皆が思っていることと,無関係だとは思えない。
もうひとつ、10月に関東を襲った台風19号で、川崎市・武蔵小杉のタワーマンション(30階建て以上の超高層マンション。以下タワマン)が被災した。多摩川が増水した結果、地下の機械室に汚水が流れ込み、電気や水道が止まってしまったそうだ。
これに対して、ネット上で「ざまあ」という書き込みが複数あり、物議を醸した。ざまあ見ろ、という意味であるらしい。
▲写真 タワーマンションイメージ 出典:Frickr: Dick Thomas Johnson
なんでも、武蔵小杉のタワマンと言えば値段が高く、また生活環境も劇的に向上して、今や「セレブの街」と呼ばれている。そうした「セレブ」が、一転エレベーターもトイレも使えない生活を強いられた事に対して、ざまあ、という書き込みをした者がいたわけだ。
東京で生まれ育ち、横浜市中区に住民票を置いたこともある私などは、川崎市にセレブの街ですかあ……と、差別発言スレスレの言葉をつい飲み込むことになるが、そんな話はこの際どうでもよく、被災者に対して「ざまあ」はないだろう、と単純に憤慨した。
しかし、冷静になって考えてみると、あながち全否定はできないかも知れぬ、という風にも思えてきた。
ここ数年、経済を中心としたグローバリズムの流れに対して、反動と言うべきか、あえて「内向き」の政治を支持する人が増えてきているように見受けられる。米国トランプ政権の誕生もそうだし、昨年後半に私が幾度もお伝えした、ブレグジットの問題もそうだ。
そのような反グローバリズムの流れに乗って登場した、トランプ大統領やジョンソン首相に対しては、移民を制限しようといった政策に対して、
「国を分断させてしまった」
という批判が根強くあることは、すでに幾多のメディアが報じた通りである。
そして日本では、景気が回復しつつある、と政府がいくら数字を示そうとも、庶民の暮らしが楽になった、という実感は得られておらず、むしろ非正規雇用が拡大し、老後の不安どころか結婚もままならない、という層が増えている。
一方で、大企業ほどまともに税金を払わず、ついには、デフレからの脱却が果たされていないのに消費税を引き上げるという、大失政が強行されるに至った。
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