「分断の時代」に終止符を(上)【2020年を占う・社会】
Japan In-depth / 2020年1月5日 11時0分
要するに、今この国は「持つ者と持たざる者」との分断が進行しつつある。その中で、自分たちの生活が恵まれないのは、上級国民(叙勲されるようなエリート官僚)や、タワマンで暮らすようなセレブ(グローバリズムの流れに乗って富を得た層)のせいだ、と考える人が現れてきたのではないだろうか。さらに言えば、こうした人たちが自分たちのことを「勝ち組」などと位置づけ、
「所得の低い人たち=努力しなかった人たち」
といった偏見を広く根強く持っていることも、残念ながら事実なのではないだろうか。誤解のないように断っておくが、今次被災されたタワマンに住む人たちがそうだと決めつけているわけではない。
全否定できないかも知れない、と私が考えたというのも、実は二重の意味があって、これまで非正規で働き、恵まれない生活を強いられてきた若い人たちほど、たとえば世に言う「派遣切り」にあっても、
「こんなことになったのは、ちゃんと就職しなかったり、会社をすぐに辞めてしまった自分が悪い」
と思い込む傾向があったからで、早い話が「勝ち組」に洗脳されてきたのである。
言い換えれば、昨今「上級国民」や「セレブ」への反感を吐露する人が増えてきたのは、洗脳が溶けてきた兆しなのかも知れない。あとは、感情的に反発するだけでは、そこからなにも生まれないということに、皆が早く気づいて欲しい。
その前提で、現在進行中の「分断の時代」に終止符を打つための方策は、次稿で私なりに考えてみたいと思う。
(下に続く。全2回)
トップ写真:イメージ 出典:Pixnio
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