米朝対立、激化必至【2020年を占う・朝鮮半島】
Japan In-depth / 2020年1月5日 19時0分
■ 米国の軍事圧力で不発に終わった金正恩の「クリスマスプレゼント」
しかしトランプ政権は、2017年を彷彿とさせる軍事圧力を金正恩に加えた。特殊偵察機7機と上空から30cmの大きさまで認識できる無人偵察機のグローバルホークを動員し、海にはXバンドレーダーを搭載した「ハワード・O・ローレンツェン」を浮かべて北朝鮮動向を24時間監視した。そしてSM3迎撃ミサイルを搭載したイージス艦数隻を待機させ、ICBM発射があれば迎撃する体制を敷いた。そればかりか、異例にも駐韓米軍基地で繰り広げてきた特殊部隊による「斬首作戦訓練」の映像まで公開した。また第7艦隊に米軍の艦船60%を集結させもした。
結局金正恩はトランプへの「クリスマスプレゼント」を断念せざるを得なくなり、12月末までの「譲歩」は得られなかった。ハノイで失った「権威」は再び傷つくことになった。
▲写真 ミサイルの発射を視察する金正恩委員長(2019年5月4日) 出典: DPRK twitter
■ 党中央委員会総会での金正恩報告
北朝鮮の労働新聞は1月1日1面に金委員長の先月28~31日に党中央委員会本部庁舎で開かれた中央委員会第7期第5回総会の結果を「新年の辞」の代わりに報じた(党中央委員会総会が2日以上開かれたのは1990年1月以来)。
総会では、次のような議案が上程された。
1)醸成された対内外形勢の下でわれわれの当面の闘争方向について
2)組織問題について
3)党中央委員会のスローガン集を修正、補充することについて
4)朝鮮労働党創立75周年を盛大に記念することについて
ここで中心となるのは第1議題の「醸成された対内外形勢の下でわれわれの当面の闘争方向について」である。この議題で金委員長は3日で7時間を費やし報告を行った。この要旨報道が「新年の辞」の代わりとされたようだ。
この報道によると金正恩委員長は現情勢を「前代未聞の難局」と分析し、その難局を「正面突破戦」で切り抜け、「核保有路線」を明確にした上で「新たな戦略兵器」と「自力更生」で長期戦に備える決意を示した。報道で「正面突破戦」との言葉は計23回登場した。しかし「新しい道」との表現は特に使われることはなかった。
■ トランプの心配な反応
トランプ米大統領は先月31日、金委員長報告で「新たな戦略兵器」の登場を予告したことに関し、南部フロリダ州の別荘で記者団に「彼は非核化の合意文書に署名した。約束を守る男だ」と述べ、非核化協議への復帰するようにと語った。
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