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防衛予算過少に見せる安倍政権

Japan In-depth / 2020年1月8日 13時5分

 


 


問題は二次補正予算の3998億円だ。これの殆どが「お買い物予算」だ。防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策に基づく措置として、自衛隊施設の整備(耐震化・老朽化対策)、自家発電機の整備(電力供給能力の向上)、施設器材(中型ドーザ、トラッククレーン)の老朽更新等となっている。


 


自衛隊の安定的な運用態勢の確保として、戦闘機(F-35A)、固定翼哨戒機(P-1)、輸送機(C-2)、哨戒ヘリコプター(SH-60K)等の整備で、車輛・艦艇・航空機等の整備維持等、原油価格の上昇に伴う油購入費・営舎用燃料費の増額、ソマリア・アデン湾における海賊対処行動の派遣期間延長に係る経費等となっている。



写真)派遣海賊対処行動 清谷信一(軍事ジャーナリスト)第34次水上部隊 第34次隊「さざなみ」乗員


出典)防衛省統合幕僚幹部HP


 


そして隊員の生活・勤務環境の改善として、隊舎・宿舎等の整備、営舎用備品(居室用ロッカー、洗濯機等)の整備等、障害者雇用の推進に必要な機器等の整備等となっている。


 


これらの中で本来の意味での補正予算に該当するのは「原油価格の上昇に伴う油購入費・営舎用燃料費の増額 310億円」と「ソマリア・アデン湾における海賊対処行動の派遣期間延長に係る経費に13億円等」、合計323億円だけである。つまり3675億円は、本来は来年度予算で要求すべき予算である。


 


来年度の防衛省政府予算は5.3133兆円(事項要求含む)であるが、これに補正予算の「お買い物予算」3675億円を加えると5.6808兆円となる。これが本来の意味での来年度の防衛予算だ。新聞の見出しが「防衛費5.3兆円」と6兆円に近い「防衛費約5.7兆円」では世論に与えるインパクトは全く異なるだろう。


 


繰り返すが、このように概算要求からは事項要求を外して過小に見せて、更に来年度の予算と当年度の補正予算に防衛費を按分するのであれば、納税者に実態が見えにくい。また国会も本来は一つの予算を、それぞれ別な予算として審議しなくてはならない。


 


これは文民統制上も大きな問題である。政治による軍事予算の管理は文民統制の根幹である。それが軽視されているといえる。


 


穿った見方をすれば安倍政権は次年度概算を過小に見せて、防衛費増額の批判を躱(かわ)し、更に事項要求や当年度の補正予算を膨らませることでGDPの嵩上げを狙っているのではないだろうか。またそれは、赤字国債で賄われて国の借金を野放図に増やすことになるのではないか。


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