19式装輪自走155mmりゅう弾砲は戦える装備か
Japan In-depth / 2020年1月12日 12時21分
因みに来年度から調達される16式機動戦車には乗員用冷房が導入される(既存の16式に導入するかどうかは未決定)。夏場の気温が35度を超えることも珍しくない今日、走行車輌への冷房導入は当然だ。今後調達されるであろう新型8輪装甲車も当然そうなるだろう。そうでなければ夏場の作戦行動、特にNBC環境下での作戦行動は不可能だからだ。
また通常この主の簡易型自走榴弾砲は専用の弾薬補給車が開発される。対して19式は野外走行能力も、整備も兵站も別な普通のトラックを使用しなければならない。再装填にも時間がかかるだろう。そもそも弾薬車用のトラックが確保されているのだろうかも疑問である。
更に申せば特科が独自の航空観測手段を持っていないという問題がある。OH-6は来年度で全機退役する。OH-1はエンジンの問題で全機が飛行停止、その改修は装備庁によればエンジン1基6千万とされている。双発なので1機あたり1億2千万円、トランスミッションもいじることになるのでそれ以上の金額がかかるだろう。全機であれば408億円以上もかかる。だがOH-1は現在音声無線でしかリアルタイムで情報を伝えられず、映像は帰投後にVHSに落とさないといけない時代遅れのシステムしかない。リアルタイムのネットワークシステムを搭載するならコストは更に掛かる。
▲写真 OH-1は試験飛行中の2機意外はすべて3年以上飛行停止 出典:筆者提供
特科の観測用に開発されたヘリ型UAV、FFOS及びこの改良型で偵察用に開発されたFFRSは能力不足の上に信頼性が劣る。これらは先の東日本大震災のおり一度も飛ばなかったことを筆者がスクープし、防衛省も国家答弁で信頼性の低さを認めて以後追加発注されていない。
このためFFRSの後継として採用が決定されたスキャンイーグルが予算化されるのは平成30年度予算からであり、戦力化は先になるし、そもそも特科への配備ではなく、情報隊向けである。航空機による観測がマトモにできないのであれば長射程での射撃の観測は難しく、19式はもちろん既存の99式、FH70の運用にも支障がある。
陸自は狭い演習地の中の演習だけこなせればいいのか。更に申せば、特科は人民解放軍ですら導入している精密誘導弾の計画すらないことだ。国民の7割が都市部に住むという我が国独自の環境を鑑みれば副次被害防止のためにも精密誘導弾の導入は欠かせないはずだ。
BAEシステムが開発した簡易型自走榴弾砲アーチャーの新型は同じMAN社のトラック、HX2を採用しているが、自動装填装置を有している。キャブは装甲化され、対NBCシステム、エアコン付きだ。自動装填装置の分値段は高くなるが乗員は3名に抑えられている。
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