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19式装輪自走155mmりゅう弾砲は戦える装備か

Japan In-depth / 2020年1月12日 12時21分

重量は33tと重たくC-2では空輸できないが、そもそも22機しか調達されないC-2で有事に「19式自走りゅう弾砲」まで空輸する余裕はないだろう。「19式自走りゅう弾砲」は空輸を考えるならばまずは空自の輸送機のポートフォリオとの摺合が必要であり、その場合でもC-130クラスの輸送機による空輸を可能とするために6輪にすべきだっただろう。



▲写真 19式自走榴弾砲走行姿勢 出典:防衛装備庁


アーチャーのように重たくても自動装填装置を採用すれば、乗員を3名に抑えられた。その場合、仮に200輛の「19式自走りゅう弾砲」を導入するのであれば400名、3個普通科(歩兵)中隊分の隊員とその人件費が浮くことになる。


少子化で隊員募集が困難を極め、防衛省は自衛官の採用年齢や定年延長まで導入を決定しているのだ。省力化を行うべきではなかったか。自動装填装置は99式自走榴弾砲、90式戦車、10式戦車などでも開発実績があり、それほどハードルが高くなかったはずだ。


取材をしてみると調達単価を低減することと、C-2輸送機での空輸が前提になっていたことがネックだったようだ。そのためにキャブは5人乗りにされず、装甲化もされず、機銃すら装備されなかった。また弾薬補給車も開発、調達されなかった。


このような中途半端な不良品を調達するならばむしろ、FH70の数を例えば100門まで減らして維持し、島嶼防衛で使える、UH-60ヘリでも空輸できるM777超軽量榴弾砲のような装備を少量導入するほうが特科の能力向上とコストパフォーマンスは高くなるだろう。



▲写真 アーチャーは戦闘重量33t、全長13.1m、全幅3m、全高3.4m(RWS搭載時は4.0m)。乗員は3名でNBCシステム防護システムを備えた装甲化されたキャビンに搭乗し、キャビン内からすべての作業を行なえる。弾倉には21発の砲弾、108個のモジュラー装薬が装填可能。 出典:筆者提供


そもそも論でいえば我が国に対する大規模な着上陸戦が行われる可能性は極めて低い。これは防衛大綱でも述べられている。より優先順位が高いのは島嶼防衛、ゲリラ・コマンドウ対処、ミサイル防衛などである。そうであれば榴弾砲の数は減らしてもいいだろう。


兵器として実用性の怪しい19式の導入は中止して、その予算を航空観測用機材と精密誘導砲弾と誘導システムの導入に向けるべきだ。更に申せば榴弾砲ならば島嶼防衛で使用できるまた陸自では120ミリ迫撃砲を普通科から特科(砲兵)に移行しているが、これら120ミリ迫撃砲のネットワーク化、情報化を新型榴弾砲の導入より優先すべきだ。


トップ写真:南ア陸軍のG6装輪自走榴弾砲 出典:著者提供


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